第2484冊目 人の印象は3メートルと30秒で決まる―自己演出で作るパーソナルブランド 江木 園貴 (著)


  • 第一印象がいかに大切か


あなたが相手と初めて会う日の朝、鏡の前でいつもより長く服装や髪型について思案することでしょう。もしくは、このスーツには、このネクタイ、といった勝負服を持っているかもしれません。そこで選ぶ装いは、自分が好きな服ではなく、お会いする相手への印象は含まれているでしょうか。


相手に残す印象が、どのような要素で形成されているのかを研究した学説があります。一般的に、その学者の名前から「メラビアンの法則」と呼ばれる心理学の研究結果です。その要素は、


見え目・表情・しぐさ・視線などの「視覚情報」が55パーセント、
声の質・速さ・大きさ・口調といった「聴覚情報」が38パーセント、
話した内容・言葉そのものの意味を指す「言語情報」が7パーセント、


という割合で形成されています。なんと相手に与える印象の93パーセントは、ビジュアルで決定づけられてしまうのです。


あなたがどんなに練ったプランを持ってプレゼンテーションに臨んでも、あなた自信のビジュアルにインパクトやエネルギーを感じられないと、そのプレゼンテーション内容は相手の印象にほとんど残らないということになるのです。


ビジュアルを要とする第一印象の大切さは、「ハロー効果(初頭効果)」――ハローとは「後光がさす」というときの後光、聖母の光背や光輪のこと――でもあります。


この効果は、その人物が持つ特徴的な一面の影響で、他の側面まで同じ評価をしてしまう心理現象です。これは、ポジティブな場合にもネガティブな場合にも起こり得る現象であるうえ、一度与えた印象を覆すことが難しい効果としても知られています。


例えば、毎朝誰に対しても元気な声できちんと挨拶をするという態度が実際の能力とは関係なく、「勤務態度が真面目で仕事ができる」というポジティブな印象を与え、一方、例えば欧米では、太っている人は能力を測らずして「自己管理の雨量がなく、仕事ができない」というネガティブな印象を与えるといったケースが挙げられます。


肩書き・学歴・家柄・過去の実績などもハロー効果の役目を果たしますが、第一印象でビジュアルの与える影響――視覚情報の影響――の大きさを考えると、やはり自分の外見を戦略的に見せることは、とても大切で、おろそかにはできないわけです。