第2184冊目 ユマニチュード入門 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著), イヴ ジネスト (著)


ユマニチュード入門

ユマニチュード入門

  • 脳に誤情報を与えないこと


人が立つことができるのは、足の裏で得た体の自重やバランスに関する知覚情報が脳に伝達され、筋肉や関節の動きに関する指令が脳から出ているからです。

立位介助をするときにその人の体を持ち上げてしまうと、足の裏が支える自分の体重が減ってしまいます。そうすると大脳に送られる知覚情報は、本来の体重よりも少ないものとなってしまい、「どのように筋肉に力を入れ、関節を動かせばよいのか」という指令を出す脳が混乱します。つまりこれは不適切な介助です。なぜなら、かえって脳が必要とする知覚情報を本人から奪ってしまうからです。


まず体を持ち上げないこと、そしてケアを受ける人に「体を持っていますよ」と言わないことが重要です。本人が自分の力を最大限に使うように仕向けるのです。また、背中を支えることも「背もたれがある」という情報を本人に与えてしまい、それに頼ってしまうこもとあるので、できるだけ背中には触れないようにします。


このように、ケアをする人が自然に助けてしまうことが、本人が立つため、歩くために必要な知覚情報を奪うことになるのです。本人の行動に必要な知覚情報を奪わない介助の方法を学ぶ必要があります。