第2178冊目 ユマニチュード入門 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著), イヴ ジネスト (著)


ユマニチュード入門

ユマニチュード入門

  • 広い面積で、ゆくりと、優しく


ユマニチュードの3つ目の柱「触れる」ことについて考えてみましょう。「見る」「話す」と同様に、「触れる」ことにもポジティブな触れ方とネガティブな触れ方があります。


ポジティブな触れ方には、「優しさ」「喜び」「慈愛」、そして「信頼」が込められています。動作としては「広く」「柔らかく」「ゆっくり」「なでるように」「包み込みように」という触れ方です。これらはみな、ケアを受ける人に優しさを伝える技術です。


逆にネガティブな関係においてはどうでしょう。たとえば「怒り」や「葛藤」をともなう場面です。触り方は「粗暴」で「拙速」になり、接触面積は「小さく」なり、かける圧力は「強くなって、「急激な」な動作で「つかんだり」「引っかいたり」「つねったり」することになるしれません。


赤ちゃんに触れるとき、自分がどんな触れ方をしているか意識したことあるでしょうか。赤ちゃんは、自分で立って歩くことも、言葉で欲求を伝えることもできない弱い存在です。そのため、わたしたちは知らず知らずのうちに、ある共通した技術を自然に使って触れています。すなわち、広い面積で、ゆっくりと、優しく触れます。こそこそが、ユマニチュードで用いる触れ方でもあるのです。