第1182冊目  あたりまえだけどなかなかわからない 働く人のルール (アスカビジネス) [単行本(ソフトカバー)]前川 孝雄 (著)  


あたりまえだけどなかなかわからない 働く人のルール (アスカビジネス)

あたりまえだけどなかなかわからない 働く人のルール (アスカビジネス)


貯金は大切。でも、将来のためには使うべきは使う


ボーナスは不安定。会社が絶対潰れないという確信がないなか、毎月の給料にも不安が残る。そう考えるあなたは、無駄使いせず貯金に励んでいることと思います。


国の財政は40兆円ちょっとしか収入がないのに90兆円以上も支出をするというありさま。もはや国の年金にも期待できないため、個人年金や保険、外貨貯金に関心を寄せているかもしれませんね。


確かに、いざというときに頼りになるのはキャッシュだと思う気持ちはわかります。


しかし、若者によって本当の自己防衛は貯金ではありません。むしろ、世界のなかで国力が下がり続けるなかでは、貯めたお金の価値が下がっていくリスクが大きい。


その意味においては、リスクを覚悟し投資をするべきです。


といっても、金融商品に走れというわけではありません。若者がすべき投資は、?能力開発と?ご縁です。


?は自己啓発ブームでもあり、あらためて説明はいりませんよね。


イギリスの首相だったブレア氏は、雇用改革を進めるなかで「私のやりたいことは三つ、すなわち教育、教育、教育だ」と主張したとか。やはり厳しい時代を切り開くには教育をつけることです。ただし、他人の考えた知識のインプットではなく、自分の考えてアウトプットできる力を鍛えることです。


教育と同等以上に大切なのは、ご縁をつなぐことです。これまでも再三述べてきましたが、まずは職場の先輩や上司、お客様、取引先といった仕事を通じた出会いを単なる仕事の付き合いに留めず、人としての絆にすることです。


アメリカの社会学者マーク・グラノヴェッターは「弱い絆(weak ties)が職を得るのに役立つ」と主張しています。家族や親友といった強い絆は互いに持っている情報が似ているため、失業時などいざというときにあまり役立たない。むしろ、過去の職場での出会いなどの弱い絆がいざというときに役立つのです。


社会も会社も変化していきますので、同じ仕事仲間と何十年も同じ職場で同じ仕事をし続けることはありません。その時々に作ってきた絆が、将来のあなたを救うのです。自己啓発とともに人間関係にも投資をしましょう。