第1027冊目 NHKことばのハンドブック [単行本]NHK放送文化研究所 (編集), 日本放送協会放送文化研究所= (編集)
- 作者: NHK放送文化研究所,日本放送協会放送文化研究所=
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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重複表現
「今、現在」は、確かに同じ意味のことばが重なった表現であり、普通は「今」か「現在」かのどちらか一方を言えばよい。しかし、「今」を取り立てて強調したいような時など、このように同じ意味のことばを重ねて用いることはよくあることである。それに、聞き手にしてみれば、意味が重なることによって、わかりやすくなるという利点もあり、重複表現がすべてよくないということにはならない。
しかし、一般に重複表現が好ましくないとされている放送でも、その考えから大きくはずれることはなく、明らかな重複表現は、やはり避けたほうがよい。
たとえば、「馬から落ちて落馬して〜」のように、重複表現であることが明らかなものや、「日本に来日する」「水道の水が断水する」「色が変色する」「元旦の朝」「炎天下のもと」「工事に着工する」などはできるだけ避けたほうがよいだろう。
「今、現在」「歌を歌う」「犯罪を犯す」などは、そのことばを強調する役割もしており、意味が重なることでわかりやすくしているとも言える。そのため重複に見えても場合によっては許される。このほか重複表現としては「排気ガス」も「排気」と「ガス」が重複しており、「排ガス」とすべきであるという意見があるが、慣用として「排気ガス」という言い方も許容される。