第922冊目  人の印象は3メートルと30秒で決まる―自己演出で作るパーソナルブランド (祥伝社新書 105) [新書]江木 園貴 (著)

お辞儀は、自分の意識より一秒長く


先にご紹介した「ゆったりした動作が上品に見える」ことと同じなのですが、動作のなかでも「お辞儀」は、日本人の奥ゆかしい文化でもあり、大事にしたい振る舞いです。

「ゆっくりしたお辞儀」は、それだけでもともて丁寧な印象を与え、人柄まで伝わります。相手は感謝されているのではないかと錯覚する効果もあります。「第一印象の30秒」でもすぐに素替えるこう効果的な振る舞いですので、覚えておいてください。

「ゆっくりと」の感覚は、頭だけでなく、上半身全体を垂直に近い位置まで下げ〈「いち、に、さん」とゆっくり数え〉て、姿勢を元に戻します。急にパッと起き上がらないことが、優雅さを演出します。

私がコンパニオンに人たちをトレーニングするときは、「ありがとうございました」の「た」を言いながら上半身を折り曲げ、「いち、に、さん」と数えてから戻るように指導しています。

会場やイベントの内容、コンパニオンでもキビキビした動作が求められる場合は、素早く体を戻します。デパートの開閉時に、「ありがとうございました」とお辞儀をしてお見送りするとき、お客様が全員出られたと思っても、ゆっくり起き上がったほうが、より丁寧に見えます。

とはいえ、お辞儀のたびに、「いち、に、さん」と数える暇がないビジネスマンも多いものです。その場合は、〈自分の意識より1秒長く〉頭を下げると意識してください。

コンパニオンの例を出しましたが、男性も3秒くらいかけてお辞儀をすると、とても礼儀正しい紳士だと映りますし、お客様に対して。深い感謝の気持ちを表明できますから、実行してみてください。ただし、男性の場合は、女性より早めで「いち、に、さん」の「さ」を言いながら戻る程度で結構です。

面談が終わって、ドアを出入りするとき、「ありがとうございました。では失礼します」と言って帰るような場合は、お見送りする側は、ゆっくりでいいですが、帰る側のお辞儀は、軽く会釈程度でいいでしょう。

お辞儀は、日本をはじめ、アジア数カ国特有の、欧米にはない挨拶ですから、海外の方と面談するときにお辞儀をすると、相手は大変丁寧に感じるものです。

TPOを間違えたり、やりすぎると「なぜそんなに頭を動かすのだろう?」と違和感を覚える外国人の方もいますし、日本に来ると、ぺこぺこと何度もお辞儀を繰り返す外国人の方もいます。お辞儀の真意は、感謝の気持ちですから、言うまでもなく、何度も何度もする必要はありません。ゆっくりと気持ちを込めた深いお辞儀を一回することで、今までのあなたよりもぐっと、「きちんとした人」、「できる人」と思われ、評価が上がることは間違いないでしょう。