第3479冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

-脚を交差させる

 

 

脚を交差させて立つ姿勢は、快適でリラックスしている気持ちを表す。この姿勢からは逃げるのも戦うのも難しくなるから、緊張しているときには、大脳辺縁系がこれを禁じる。同僚が集まって意見を出し合っている場で、よく脚を交差させて立っているのを見かけるし、友だちどうしが立ち話に熱中しているときには、片足の足首に、もう片方の足先を交差させていることがある。相手を真似して同じように脚を交差させて立てば、快適さがさらに増す。

 

 

並んで腰掛けている場合、相手の脚の組みかたで心を読めることがある。気が合っていれば、その人が上に君だ足の先が自分のほうを向いているだろう。会話が芳しくないと、太ももでふたりのあいだに垣根を作るように脚が組まれる、または組み直させる。今までこれを意識したことがないなら、仲よさそうに話し込んでいる人たちを観察し、足の組みかたをどんなふうに変えてコミュニケーションを図っているかに注目してもらいたい。

第3478冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-スタートの姿勢

 

 

「スタートの姿勢」は重力に逆らう姿勢で、座った人が片足を前に出し、もう一方の足を後ろに引いて、その足の親指の付け根に体重をかける。目の前にあるものに興味を引かれた人は、このような姿勢をとる(「もっと詳しく聞かせてよ、その話おもしろいね!」)。その逆に、席を離れたい気持ちを知らせるサインになることも多い。目上の人と話をしているとき、相手がスタートの姿勢をとったなら、まだ何かあると確認するか、うまく話を切り上げたほうがいい。相手はほかに行くところがあるにちがいない。

第3477冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

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-「行きたい先を示す」足

 

 

会話中の相手が立ちかたを変え、片足または両足の爪先を別の方向に向けたなら、もう話をやめて立ち去りたいという意図を示す強力な手がかりになる。話しているうちに不快になったか、会議に遅れそうなのだろう。結論――それとなく話を終わらせるべし。部下が上司に何かを報告しちえるとき、顔は前を向いているのに、足先が斜めを向いている(腰から下を少しだけひねっている)なら、何か問題があるにちがいない。部下はもう報告をやめたいか、そもそもそこにいたくないと思っている。

第3476冊目  FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

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-あなたが笑えば、私も笑う

 

 

模倣行動や同調性とも呼ばれるミラーリング――互いの動きや姿勢に合わせて同じ動きや姿勢をすること――は、相手との人間関係が快適であることを最も強く表現する行動だ。この場合も、初めて見られるのは親と子のあいだになる。研究者たちが、互いに打ち解け合った美しい表情を映像に残しているので、それをスローモーションで見てみると、ミラーリングはまるでダンスのようだ。赤ちゃんが微笑む―母親が微笑む―赤ちゃんが「クーッ」と喉を鳴らす―母親がそっくりの声を出す―赤ちゃんが首をかしげる―母親も首をかしげる。これは親密なコミュニケーションの始まりで、何年も後に経験する恋愛や仕事で、大いに役立つことになる。

 

 

私たちは快適さが大好きなのと同じく、同調性も大好きだ。事実、託児所でひとりの赤ちゃんが泣き出すと、ほかの赤ちゃんもいっせいに泣き出すという。友だちが悪い知らせを聞いて落ち込んでいると、自分も同じような気分になり、同じ行動を見せることによって親密さを示す。葬儀では誰もが同じ表情に見せるのも、応援するチームがタッチダウンを決めると全員がいっせいに歓声を上げるのも、このような理由からだ。同調性は、社会の調和を育むと同時に、それを外に向かって明らかにする。

第3475冊目  FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

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-逃げる

 

 

固まっていても脅威が去らないようなら、次に逃げるという選択肢がある。平野に草をさむ草食動物の群れが、腹をすかせたチーターに襲われたときの目覚ましい反応は、ネイチャー番組でお馴染みだ。一〇〇頭もの群れが一斉に顔を上げたかと思うと(固まる)、その直後には走り出している。

 

 

現代の暮らしでは、不快だと感じる場面に遭遇したとき、いつも立ち去るというわけにはいかないが、いやまのものから自分自身を遠ざけようとする大脳辺縁系の働きを止めることはできない。次の章でわかるように私たちの「正直な」脚と足は、遠ざかりたいという望みを示すノンバーバルを見せてくれる。もう会話をやめたいと思う人の足先は、相手から直角に方向を向いている。証人を好きではないと感じた陪審員の脚の向きは、自然と出口のほうを指している。会議室では、自分の意にそぐわない発言をした人からそらすように回転いすを回してしまう。そして嫌いな人に会うと、なんとなく正面を向いて立つのを避け、足先を斜めの方向に向けてしまう。これらは私たちの大脳辺縁系が、不快なものから距離を置こうとしているせいだ。

 

 

同じように胴体も、反目を感じる人からは遠ざかるように反らすか、少し横を向ける。人はイライラする相手から体の前面をそむけ、ついに本当に険悪な仲になれば、背を背けることになる。あるいは相手とのあいだに壁を作って距離を置こうとすることもあり(突然ハンドバックを膝の上に置く、上着のボタンをはめる、車のドアをロックする、そっぽを向くなど)、それにはまぶたを下げる、手で顔を覆うなどの、目を守るしぐさも含まれている。これらは周囲の人から遠ざかる行動の現代版だ。

第3474冊目  FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-逃げる

 

 

固まっていても脅威が去らないようなら、次に逃げるという選択肢がある。平野に草をはむ草食動物の群れが、腹をすかせたチーターに襲われたときの目覚ましい反応は、ネイチャー番組でお馴染みだ。一〇〇頭もの群れが一斉に顔を上げたかと思うと(固まる)、その直後には走り出している。

 

 

現代の暮らしでは、不快だと感じる場面に遭遇したとき、いつも立ち去るというわけにはいかないが、いやなものから自分自身を遠ざけようとする大脳辺縁系の働きを止めることはできない。次の章でわかるように私たちの「正直な」脚と足は、遠ざかりたいという望みを示すノンバーバルを見せてくれる。もう会話をやめたいと思う人の足先は、相手から直角の方向を向いている。証人を好きではないと感じた陪審員の脚の向きは、自然と出口のほうを指している。会議室では、自分の意にそぐわない発言をした人からそらすように回転いすを回してしまう。そして嫌いな人に会うと、なんとなく正面を向いて立つのを避け、足先を斜めの方向に向けてしまう。これらは私たちの大脳辺縁系が、不快なものから距離を置こうとしているせいだ。

第3473冊目  FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-固まる

 

 

たいていの人は、危険を感じたら「戦うか逃げるかだ」という言葉を聞いたことがあるだろう。けれども実際には反応が三つあって、もうひとつの「固まる」が最初の、最も優先する反応になる。なぜだろうか? ひとことで言うなら、一番効果的だからだ。アフリカのサバンナで狩りをするヒト科の祖先になった自分を想像してほぢい。何気なくあたりを見回すと、藪のかげに潜むサーベルタイガーの姿が目に入った――その瞬間、身を固くするのは間違いない。これは「辺縁系の常識」で、じっと動かないで肉食動物に気付かれずにすんだほうが、へたに動いて大型のネコ科特有の「追いかける、捕らえる、噛みつく」という反応を引き起こすより得策だ。哺乳動物は動くものに反応する性質をもち、それに対抗する確実な方法といえば、じっとしていることになる。それと同時にエネルギーの節約にもなるし、ほかに手はないかとまわりをじっと見まわす時間もできる。進化の試行錯誤の過程でこの反応が功を奏していなかったら、私たちは種として生き延びることは、あるいは進化することはできなかっただろう。

 

 

現代社会では、郊外の家も高層ビルのオフィスもアフリカのサバンナから遠く離れてしまったが、古くから根づいたこの辺縁系の習慣は、そう簡単に消えるものではない。固まる反応はまだ私たちの防御の最前線であり、たくさんのノンバーバルで目にできる。冴えなかった実績の評価を聴く社員は、膝の上で両手をしっかり握りしめ、両足の足首のところで交差して、身を固くする。厳しい質問をされた政治家は、笑顔を作りながらも、両手で椅子の肘かけをつかんだまま放さない。教室の真ん中で立ちすくみ、教授をじっと見つめている学生は、出された課題を読んでこなかったようだ。加害者が尋問を受けると、椅子に座ったまま身じろぎもせずに、犯罪について何も知らないと主張する。こうした例にはいずれにも固まる反応が入り込んで、体が話す言葉の中に、はっきりと姿を現している。

 

 

暴力沙汰が起こったときや、突然大きな音が聞こえてきたときにも、人はよくショックを受けたように動きを止める。これも固まる反応の表れだ。この反応はとても敏感なので、私たちは悪い知らせを聞いたときにも一瞬動きを止め、その悲しい出来事を心の中で反芻する。