第3768冊目

福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか

 

①注意すべき事態が発生した場合は、なるべく早い機会に当該職員と向き合い面談する機会をもつ。

 

 

不適切な言動が示された場合は、可能な限り、早い機会に、話をするように努める。

 

 

時間が経てば経つほど、介入の効果は薄れてしまう。本人の記憶も薄れているので、「何があったか」尋ねても、明確かつ具体説ある答えが返ってこない公算が大きくなる。事実関係の把握が不十分だと、的を得た形での注意をすることは困難になる。時間が経ってからの注意の場合は、相手から「なぜ今頃そんなことを言うのか!」と反発され、素直に指摘を受けてもらえなくなる可能性が高くなる。

 

 

②部下・後輩と向き合うには、すべての過程で穏やかな口調を心がける。

 

 

部下・後輩と向き合い際、強い口調で接するのは厳禁だ。部下・後輩は強い口調での対応を受けると、たとえ、内心では自分の行為に非があることがわかっていたとしても、自身の行為を冷静に振り返ることができなくなる。自分の業務のなかでどのような行為をしたかよりも、リーダー職員から強い口調で責められたという印象しか、残らなくなってしまう。

 

 

もし、勢い余って、「何度言ったかわかるんだよ。わらかないんだったら、もう辞めてしまえ」などといった発言をしたら、もうその時点でアウトだ。相手は心を閉ざし、事実を認めようとしなくなるだけでなく、後にパワーハラスメントで訴えらるケースもある。実際、管理監督職員が感情的になって部下・後輩を注意し、パワーハラスメントで訴えられたというケースは、今の時代、枚挙に暇がない。

 

 

上司・先輩が行う部下・後輩への注意は相手の人格を傷つけたり、相手の人間性を否定したりするために行うのではない。利用者にとっても職場にとっても、大切な存在であってもらうために行うのである。利用者本位サービスと権利擁護を推進する、すばらしい有為の職員として、これからも利用者と職場を支え続けてもらうために行うのである。

 

 

頭ごなしに叱り飛ばすような態度を示すと、その重要なメッセージが伝わなくなる。人は責められれば、自己防衛・自己防御のスイッチが入る。自分が業務中に何をしたか、自分が利用者に何をしたか、といった点よりも、今、自分がリーダー職員(上司や先輩)に責められた、否定された、そんざいな扱いを受けたといった印象しか残らなくなる。

 

 

だからこそ、リーダー職員は、部下・後輩を注意しなければならないときは、感情をコントロールしながら、冷静かつ品格ある態度で、向き合うようにしなければならない。