第3567冊目「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

-決意

 

 

何事も大成するためには勤勉と根気が必要であることは、誰でも知っている。そして努力を続け、必要とあらば犠牲をも払うためには、強い意志が欠かせない。たとえばシカゴ市長を務め、アメリカの歴史で最も優れた市長一〇人の一人と言われるリチャード・デレイは、五三歳になるまで市長選挙に立候補しなかった。「デレイは若い頃に立身出世を志したが、チャンスが訪れるのを辛抱強く待った。そして三〇年にわたって市議会で黙々とお決まりの仕事をこなしていた」という。またリンカーンの評伝を書いたピュリツァー賞作家ドリス・カーンズ・グッドウィンによれば、リンカーンが政治家として成功した要因の一つは、断固たる決意だという。そうした決意があったらこそ、リンカーンは貧しい生い立ちや若い頃の挫折や周囲からの侮辱を乗り越えることができた。

 

 

そして政治の世界で言えることは、実業界にも通じる。たとえば玩具メーカー、マテルのCEOに上り詰めたジル・バラッドは、並々ならぬ野心の持ち主だった。彼女はよくハチをかたどったピンを髪に挿していたが、それにはわけがあった。「ハチはふしぎな生き物で、構造的に飛べるはずがないのに飛んでいる。だからハチを見るたびに、どんなに不可能に見えることでもやってやるぞという気になる」

 

 

大きな組織にいると、腹の立つこともあれば不満が溜まることもあり、やる気を削がれることも多々あるだろう。だが何としてもやり遂げるという確固たる決意があれば、あきらめたくなる弱気の虫や怒りを爆発させたい衝動を抑えられるはずだ。