第3261冊目 家族のためのユマニチュード: “その人らしさ”を取り戻す、優しい認知症ケア  イヴ・ジネスト (著), ロゼット・マレスコッティ (著), 本田 美和子 (著)


家族のためのユマニチュード: “その人らしさ

家族のためのユマニチュード: “その人らしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア

  • ケアの準備「よい関係を結ぶ」


入口のノックの後で相手に近づいていきますが、これが2番目のステップ「ケアの準備」の始まりです。ここで大切なのは「顔が向いている方から近づく」ということです。認知症をお持ちの方は認識できるが範囲できる範囲が狭くなっていきます。このため、自分をより認識してもらえるように、相手の視野の中心に入ることを意識しながら近づいていきます。ノックの返事がなかったときには、相手により近づいて、ベッドボートや椅子の肘掛けをノックすることで、改めて「私が会いに来ましたよ」と伝えます。


最初からケアの話はしない


ケア(たとえば、着替えやオムツ替え、食事の介助など、何でも)をするつもりで部屋を訪れた場合、いいなりケアの話をしないことも大切な技術です。友達の家に食事に招かれたとき、ドアを開けてもらってすぐに「ごはんを食べよう」と言わないのと同じです。会えてうれしい、という気持ちをまず伝えます。ここで、ユマニチュードのコミュニケーションの柱である「見る」「話す」「触れる」技術を存分に使い、相手とのよい関係を築きます。