第3104冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著),‎ トニ・シアラ・ポインター (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学


マリオット・インターナショナルは従業員をきちんと教育して、従業員に期待される行動を明確に伝えるという方針を守っており、その姿勢にはいつも感心させれらる。たとえば、マリオットではすべての従業員が――客室係から駐車係、接客主任から支配人まですべて――おはようございますと挨拶し、それも心から言っているように見える挨拶をすることが徹底されている。これは大きな違いを生む。ほかのホテルでは、スタッフが客の目を見ずにすれ違い、まるで何かを恥ずかしがっているような様子だ。けれどもマリオット・ホテルに入ったときやホテル内を歩いているとき、心から挨拶されると、自分が特別な存在になったような、そこが特別が場所のような気分になる。


この小さな違いが重要なのだ。ついこのあいだ、地元のレストランのウェイターが、食べ物を持っている客の前でメールを打っているのを見かけた。仕事を中断しなければならないほど大事なメッセージがあるだろうか? ここで教育が必要になる――ダイニングルームで働いている間に携帯電話を使ってはいけない。電話は休憩時間にかければいい。昨今は飛行機の客室乗務員まで、携帯電話の誤った使いかたをしているのを見かける。ドアがすでに開いてるのに電話やメールに忙しく、乗客が案内なしで機内に入らなければならないことがある。


何においても、笑顔で伝える前向きな態度ほど強力なノンバーバルはほかにない。少し前に、私はコーヒーを飲みながらクライアントと話ができる場所を探していた。あるコーヒーショップで、レジのあたりに店の案内カードが見当たらなかったので、レジ係に一枚もらえないかと頼んでみた。彼女はちょうど別の客の会計をしている最中で、私のほうに目を向けることなく、少しお待ちくださいとも言わずに、ただ「今、切らしています」とそっけなく言った。そのひと言で、店は私という将来の客を失った。それとは正反対に、オープンしたばかりで案内カードがまだ出来上がっていなかったあるレストランでは、レジ係の女性がメニューのコピーを私に手渡しながら、笑顔でこう言葉を添えた。「私どもの電話番号は、この中に書いてあります」。