第2534冊目できる人の仕事のしかた リチャード・テンプラー (著)


できる人の仕事のしかた

できる人の仕事のしかた

  • 一瞬のチャンスをつまかえる


私はたしかに「プランを持て」と言った。そう、あなたには長期計画と短期計画の両方が必要だ。しかし人生には、プランを捨てなければならないときもある。それはチャンスが到来したときだ。


私の友人で、思ったように昇進できずにいる男がいた。ある日彼は列車で、偶然にも会社の会長と同じ客室になった。これは彼にとってチャンス到来だった。


そのとき彼は、会長への敬意を示しながら、気軽なおしゃべりを楽しんだ。そして会話に、会社の歴史、ミッション、全体的な方向性を深く理解していることをさりげなく盛り込んだ。チャンスを生かし、完璧に自分を売り込んだのである。


自分の考えを分かりやすく伝えながらも、決してでしゃばらず、黙るべきときと、引くべきときを心得ていた。がつがつと自分を売り込みすぎなかったのも功を奏した。


彼の作戦は大成功だった。彼の部署のトップが、会長から直々にいう言われたのだ。


「きみの部署にはなかなか優秀な若者がいるじゃないか。彼にもっと上の仕事を任せてはどうかね」。会長にそう言われたら、彼を出世させるしかないだろう。


これが「チャンスをつかむ」ということだ。


偶然のチャンス到来を、あらかじめプランに組み込むことはできない。チャンスはボールのようなものだ――自分に向かって投げられたら、反応してキャッチするまでの時間はほんの一瞬しかない。


質問をする時間はないし、後ろを振り返る時間もない。プラスの点とマイナスの点を吟味する時間もない。ボールをキャッチするか、またはしないかのどちらかだ。


今までの人生を振り返り、逃したかもしれないチャンスについて考えてみよう。もう一度同じチャンスに恵まれたら、今度はどうするだろう。違う反応をするだろうか。あのときの失敗の原因は何だったのだろう。