第949冊目 小泉進次郎の話す力 [単行本(ソフトカバー)]

佐藤綾子 (著)

小泉進次郎の話す力

小泉進次郎の話す力

自分がどこからどう見えるか、よく知っておく

先に新見浜市で、進次郎氏が暑くてもジャケットを着ていたことを指摘しました。ガードマンと進次郎氏ぐらいがジャケットを着ていて、周りのほとんどのひとが長袖ワイシャツ姿、あるいは袖をまくり上げた格好でいるのに対して、なんとフォーマルに聞き手に敬意を払っていているのかと、聞いた人々は無言のうちにその服装だけで配慮を感じたことでしょう。

しかも、聞き手が見つめている目の前の進次郎氏は、どこからどう見てもゴルフの石川遼か、あるいはテレビ画面のなかから出てきた俳優かというぐらいの容姿端麗です。当然、若いので中年太りもせず、お腹の余分な出っ張りもなく、後ろから見ている人に対してもズボンのお尻のあたりのたるみもないのです。

しかし、そのほぼ政治家としてはありえないほど完璧な姿を保っていながら、さらに彼は自分をどう見せるかという、文字通りの画像としての自分の見せ方を計算尽くしていると思われます。

最もわかりやすいのが自民党のネット広告です。正面から谷垣偵一総裁やそれまでの党首たちを写してきた写し方とはまるきりちがうのです。

まず正面の顔を写し、次に斜め横から写し、さらに正面から写し、また斜め横からプロフィール、横顔を写しています。おまけに目もとの大写しもあります。涼やかな整った形の目で視聴者を見つめて、右手の人差し指を立てて、一番の国をつくりましょうとお馴染みの自民党の決めポーズをやってのけるのです。