第3969冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

何か問題が発生したとき、上司がまず取り組まなければならないのは、「何があったのか、事実を冷静沈着に確認することである。

 

事実を確認する際には、攻め立てるような口調や姿勢は厳禁。問い詰めるような言動を示すと、相手は身を守ることで心が一杯になる。冷静に何があったかを振り返ることができなくなる。

 

相手に責任を取るように促す発言は、事実関係を確認する段階では、決して示してはならない。もし部下職員に責任を取る場面があるとすれば、故意や悪意が事実として明確になるケースくらいであるという点を忘れないようにする。

 

問題発生後の事実関係によって、特定の職員の介護方法・支援方法などが不十分であることが明らかになった場合は、正しい技術の習得に向けたアドバイスを行う。利用者や家族からの苦情・申し立てのケースであれば、申立人に不十分な介護が行われていたという事実があったこと、事業所として職員の介護・支援の向上をサポートする体制が十分でなかったことが原因にあるという点を伝え、謝罪の意を示す。故意や悪意などによって発生した案件でなければ、責任の特定の個人に帰すのではなく、事業所が担う。この原則に沿いながら、今後の防止策を明示するというプロセスを踏むことが重要になる。