第3867冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

-油断をすると現場は“現場至上主義”の罠に陥ってしまう

 

こうした状態が放置されると、職場全体が“現場至上主義”の罠に陥っていく。最前線で働く自分たちだけが現場を知っている。上司は現場のことを知らないし、わかろうとしない。現場の現状を知っている自分たちの判断で現場をどう運営するか、決めてよい。どんな手順や方法で業務を行うのか、決めてよい。どんな態度で利用者に接するのか、どのような方法で介護をするのか、決めてよい。そんな考えが同じ立場で働く仲間のなかで共有されていく。

 

こうした姿勢の一番恐いところは、自分たちが行うことは「正しい!」「これでいいんだ!」という集団心理が働くことだ。本当にこれでよいのか、問題ないか、という意識は、ほぼゼロの状態になり、自分たちの見立てや論理だけで物事を判断するようになる。こうなると、業務の劣化現象に歯止めがかけられなくなる。いつ申告な苦情が利用者や家族から申し立てられてもおかしくない状況に成り果ててしまう。最悪のケースでは、いつ虐待通報が関係機関に寄せられても不思議ではないといった状況にまでサービスレベルの劣化が進んでしまうこともある。