第3615冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田則夫(著)

 

 

 

福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか
 

 

 

-どんなに経験を積んでも利用者に学ぶ謙虚な姿勢をもち続ける人

 

 

福祉の仕事に携わる人にとって、最も怖いのは、驕りの罠に陥ることだ。「利用者のことは何でもわかっている」「私と利用者との間には完璧な信頼関係ができている」という思い込みや自信過剰の状態に陥っていることだ。驕りや自信過剰は、重大な結果を職場にもたらしやすい。福祉の職場で働く人を、極めて不適切な接遇姿勢、プロと呼ぶには値しない介護・支援・保育・療育・権利侵害あるいは虐待と指摘されかねない言動に陥らせてしまうことがある。

 

 

なぜそうなるのか。「わかっている」「完璧な信頼関係ができている」といった思いは、危機意識を失わせるからだ。素人が見ても、「そんな接遇は不適切だろう」「そんな態度で接するのは不謹慎だろう」といった態度を示しているのに問題だと言わなくなる。

 

 

例えば、認知症の高齢者に対して、「○○ちゃん、ご飯の時間だよ。こっちにおいで」と子どもに相対するかのような接し方をする。自分の思い通りに動いてくれないと、「そうじゃないよ。ダメでしょ」と子どもを叱るような対応をする。正しくない接し方をしているのに、「人間関係ができているから問題ない」と、自分の行為を正当化する心理状態に陥ってしまう。

 

 

もしあなたがリーダーを務める職場がこうした状況にあるとすれば、即座に行動を起こさなければならない。リスペクトに欠けた行為は一切許されないということを共通認識として職場に定着さえさせなければならない。