第3551冊目 入社1年目の教科書 岩瀬大輔(著)

 

 

 

入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

 

 

 

-質問はメモを見せながら

 

 

依頼された仕事に取り組んでいると、途中でわからない点が出てきました。先輩はすぐ隣のデスクにいます。気軽に質問を投げかけました。

 

 

「この点がわからないので、教えてください」

 

 

日常的に見られる光景だと思います。優しい先輩であれば、何も言わず丁寧に教えてくれるかもしれません。しかし、これは上司や先輩に対して質問をするときに極めて悪い例です。

 

 

わからないことが出てきた時点ですぐに頼るクセをつけると、いくら丁寧に教えてもらっても、自分のスキルとして定着しない恐れがあります。本当の部下のことを考える部下であれば「自分で調べたのか」と問い返してくるでしょう。

 

 

まずは自分で調べる。理解べきた部分とわからない部分を認識する。一通り最後までその問題について考える。自分なりの仮説を立ててみる。そのうえで、理解でない部分を質問する。予習、つまり自分なりの準備をしてから質問するのが、正しい質問の仕方であると思ってください。

 

 

つい先日、開業前からお世話になっている社外の人と昼食をご一緒しました。そのとき「一応、ちょっと考えてきたからさ」といって、お店のカウンター席で、一枚の紙を渡してくれました。そこには、ライフネット生命の進む方向について3つのアドバイスが書かれていたのです。

 

 

A4用紙3分の1程度の大きさの、箇条書きのシンプルなものでしたが、その人は3つの助言をわざわざ紙に書いてきたくれたのです。理解しやすかったと同時に、嬉しさを感じたことを覚えています。

 

 

それからというもの、思考を伝えるには、紙に書くことが望ましいと再認識しました。言葉が紙に残されていることで、思考も残るからです。それは、メモを書いたほうも、メモをもらったほうも同様です。

 

 

予習をする際、仮説まで考えたら、それを紙に書いてください。質問をするときには、その紙を上司や先輩に見せながら行ってください。若者が「質問が3つあります」と言いながらメモを出したら、彼がしっかり準備をしたうえで質問に来ているという印象を持たれます。自分の行動を相手に知らしめるうえでも、効果的な行為だと思います。

 

 

入社間もない時期ですから、上司や取引先に質問しようとしたとき、緊張のあまり言葉が出てこないこともあるでしょう。紙に書くという行為は、質問内容を確実に相手に伝えるという意味合いもあるのです。

 

 

リップルウッド時代の上司は、下っ端の僕と話をする際も、必ず事前に要点を書き出して、そのメモを見ながら話していました。経験豊富なビジネスパーソンも実践していることです。皆さんもぜひやってみてください。