第3213冊目 入社1年目の教科書 岩瀬 大輔


入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

  • 質問はメモを見せながら


依頼された仕事に取り組んでいると、途中でわからない点が出てきました。先輩はすぐ隣のデスクにいます。気軽に質問を投げかけました。


「この点がわからないので、教えてください」


日常的に見られる光景だと思います。優しい先輩であれば、何も言わず丁寧に教えてくれるかもしれません。しかし、これは上司や先輩に対して質問するときの極めて悪い例です。


わからないことが出てきた時点ですぐに頼るクセをつけると、いくら丁寧に教えてもらっても、自分のスキルとして定着しない恐れがあります。本当に部下のことを考える上司であれば「自分で調べたのか」と問い返してくるでしょう。


まずは自分で調べる。理解できた部分とわからない部分を認識する。一通り最後までその問題について考える。自分なりの仮説を立ててみる。そのうえで、理解できない部分を質問する。予習、つまり自分なりの準備をしてから質問するのが、正しい質問の仕方であると思ってください。


つい先日、開業前からお世話になっている社外の人と昼食をご一緒しました。そのとき、「一応、ちょっと考えてきたからさ」といって、お店のカウンター席で、一枚の紙を渡してくれました。そこには、ライフネット生命の進む方向について3つのアドバイスが書かれていたのです。


A4用紙3分の1程度の大きさの、箇条書きのシンプルなものでしたが、その人は3つの助言をわざわざ紙に書いてきてくれたのです。理解しやすかったと同時に、嬉しさを感じたことを覚えています。


それからというもの、思考を考えるには、紙に書くことが望ましいと再認識しました。言葉が紙に残されていることで、思考も残るからです。それは、メモを書いたほうも、メモをもらったほうも同様です。