第3539冊目  90秒で好かれる技術ニコラス・ブースマン,中西真雄美

 

 

 

90秒で好かれる技術 改訂版

90秒で好かれる技術 改訂版

 

 

 

-おしゃべりという技術を身につける

 

 

出会って数分たつと、会話に少しはずみがついたと感じる瞬間があるだろう。この瞬間が、それとなく相手のことを知ろうとする会話から、少し踏み込んだ会話へと移行するタイミングだ。このとき、態度や心構えも変化させたほうがいい。事実を語り合うだけのファクト・トークからおしゃべりとでもいうべきものへと移行するのだ。

 

 

ファクト・トークとおしゃべりとのあいだには、質的な違いがある。

 

 

事実を話すだけの人は相手の論理的な分析的な側面に訴えかける。おしゃべりの達人は相手の五感やイマジネーションに訴えかける。おしゃべりの達人は会話が親密で心地よく、ときにゴシップに満ちていることもある。

 

 

おしゃべりの達人は、誰が、何を、どこで、いつ、なぜ、どうやってという魔法の言葉を使って、感情のこもった反応を引き出す。ファクト・トーカーは同じマジックワードを使って情報を引き出す。

 

 

おしゃべりの達人は相手の五感に訴える。「○○をどう感じますか?」「どう見えますか?」「どう聞こえますか?」のように。雰囲気を和らげる言葉やうまくぼかした言葉を使って、相手が話に乗って来るようにうまく仕向ける。「この仕事、どうすればうまくいくのかわかります?」「あなたの第一印象はどうでした?」「どうしてあそこに立てるべきだと思うのか、もう一度聞かせてください」

 

 

おしゃべりの達人は、出だしのセリフで話を相手のイマジネーションに直接届けてしまう。ときにうなずいたり、軽く身体を揺すったりして相手の反応をうまく捉え、さらに促す。達人がその手を使うと、相手とのきずなが一層強まる。ファクト・トーカーは、情報に重きを置くため、会話が必然的に行き詰まり、一人テニスをすることになる。