第3538冊目  90秒で好かれる技術ニコラス・ブースマン,中西真雄美

 

 

90秒で好かれる技術 改訂版

90秒で好かれる技術 改訂版

 

 

 

-世間話はコミュニケーションの潤滑油

 

 

マグダはこの2ヶ月間、新しい治療計画の見直しのため、28の特殊医療クリニックの人部部長を一堂に集める段取りを進めてきた。そのうち数人と一対一で面談をしたマグダの上司が、彼女を自分の執務室に呼んだ。「良いニュースと悪いニュースがある。彼らは会合を開くことに同意してくれたのが、君と一緒に働きたくないと言っているんだ」

 

 

マグダは衝撃を受け、動揺した。そして私のところに助けを求めてきた。彼女にとって今回のようなことが起きるのはきっと初めてじゃないな、と私にはすぐにわかった。マグダは聡明で身なりのきちんとしたまじめな女性だ。最初は、彼女の話がよく飲み込めなかったが、そのうちピンときた。

 

 

「世間話をどう思う?」

 

 

「私はしません。がまんできないんです」と彼女は答えた。

 

 

「君の態度は、工場の生産ラインから出たばかりの新品のジャガーといった感じだ。ただし、塗装をし忘れたジャガーなんだ」と私は言った。すべてにおいて完璧――だが、まわりの人たちにとってはどうも居心地が悪い。

 

 

「世間話はコミュニケーションの潤滑油のようなものだ。それがあるだけで、ものごとがスムーズに進む」

 

 

世間話は特別意味のない気軽な会話だ。だがそれがあるだけで、互いよく知らない者同士が対立せずに安全な形で親しくなれる。しかも難しいことではない。たとえば天気について、こちらから柔らかい球を投げて会話のキャッチぼるを始めればいい。どこから通勤しているのか尋ねても、スポーツや近所で起こった出来事を話題にしてもいい。ちょっと変わった服やアクセサリーを褒めてあげるだけでもいい。

 

 

少し親しくなってきたら、暇な時間は何をしているか尋ねてもいい。有名人の最近のスキャンダルやベストセラーになった本、最近の映画を話題にしてもいい。素敵なセリフで会話を始めようなどと悩む必要はない。何か言ったあとに、「そうですよね?」と付け加えればいいだけだ。