第3307冊目 「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)  ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)


広告効果を知るにも最も手っ取り早いのは、「その広告を覚えているか、また広告で謳われた商品を覚えているか」と聞くことである。このとき、その広告の好き嫌い、あるいは広告の論理性や芸術性などはどうでもよろしい。同じことが組織内の昇進や昇格についても言える。これは、単純接触効果と呼ばれる現象のためである。人間は、他の条件が同じであれば慣れ親しんでいるものを好むという効果で、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが発見し命名した。ザイアンスは被験者に未知の人の顔写真を何度も見せる実験を行い、写真を見せられた回数が多い人に好感を抱く傾向があることを突き止めた。よく知っているものに対して嫌悪感が薄れるのは、不確実性が低下するからだと考えられる。連想や意思決定における単純接触効果は、文化のちがいを問わず、また決定事項の内容を問わず、広く確認されている。


よく覚えているものを好きになるという単純きわまりない事実は、あなた自身にも当てはまる。評価を得るためには目立つことが必要だが、目立つだけでなく覚えてもらえば、好感度が高めるのである。記憶に残ることイコール選ばれることだと言ってよい。