第3306冊目 「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)  ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)


昇進(昇格、昇給またはその両方)に関する広範な調査でも、社員の運命が実績とはさほど関係していないことが確かめられている。一九八〇年に経済学者のジェームズ・メドフとキャサリン・エイブラハムは、企業の給与は実績よりも年齢および在職期間との相関性が強いと指摘した。その後に米国をはじめ世界各国を対象に行われた調査でも、この指摘の正しさが確認されている。たとえばオランダの航空機メーカー、フォッカーの事務職のデータを分析したところ、「きわめてよい」の評価を得た人の昇進率は、「よい」の人より一二%高いだけだった。一方、多くの研究が、学歴、人種、性別などさまざまな要素が昇進と関係づけられることを検証している。実績も統計的に有意な関係は認められるものの、その影響はきわめて小さい。たとえば、業種の社員二〇〇人以上を対象にした調査では、上司は部下の昇進・異動を決定する際に、在籍期間、学歴、残業時間、欠勤を考慮したうえで、実績を勘案することが明らかになっている。また連邦公務員を対象とした調査では、人事評価に実際の生産性があまり反映されていないことが判明した。この調査では、実績とは無関係に学歴の高い人ほど昇進したことが確かめられている。