第3178冊目 一瞬で自分を変える法―世界No.1カリスマコーチが教える アンソニー ロビンズ (著), Anthony Robbins (原著), 本田 健 (翻訳)


一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫)

一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫)

  • メリットの小さい行動は習慣になりにくい


人が抱くイメージはつくり替えることができるが、新しく考案した「行動」に、前の行動と同じような大きなメリットがなければ、おそらく昔の行動が復活するだろう。


たとえば、片足が原因不明の麻痺を起こしている女性がいるとしよう。このような時、私は彼女の頭の中で何が起こっており、なぜ足が麻痺しているのかを解明し、「もう足を麻痺させる必要はない」と脳にメッセージを送る。


普通ならば、このプロセスで足の麻痺は完治するはずだ。しかし、足の麻痺のおかげで、皿洗いや足のマッサージをしていれていた夫のやさしさがなくなる思うと、元の状態に戻ってしまうかもしれない。


最初の数週間は、麻痺がなくなってうれしいと思うだろうが、しばらくすると、皿洗いもしなければならないし、夫も足をマッサージしてくれなくなり、あまり彼女のことを心配してくれなくなる。すると、不思議なことに、足の麻痺が再発するのだ。


彼女は決して意識的にそうしているわけではない。このような場合、夫から以前と同じようにやさしくしてもらうような、代わりの行動を見つける必要がある。


私のトレーニングを受けた中に、八年間、目が見えなくなっていた女性がいたが、彼女は何をやらせてもうまく、精神的にも安定した。後で気づいたのだが、この女性は実は目が見えていたのに、ずっと目が不自由なふりをしていたのだ。


いったいなぜ? 彼女は若い頃に事故に遭い、視力が弱くなった。すると周囲の人たちが、彼女がそれまで経験したことがないほど多くの愛情を注ぎ、助けの手を差し伸べてくれた。しかも、目が不自由だと思われているので、ごく日常的なことをするだけでほめてくれた。初めて会う人でさえ、彼女を特別扱いした。


周囲が特別扱いしてくれるので、彼女は目が不自由なままでいることにし、時々、自分は目が見えないのだと自分に言い聞かせていた。周囲からこれほど思いやりのある、愛情深い接し方をしてもらえる他の方法が見つからなかったのだ。


「目が不自由」な状態から得られるより大きなメリットのある方法を見つけないかぎり、彼女の状況が変わることはないだろう。