第3149冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著),‎ マーヴィン カーリンズ (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • すぼめた唇


話を聞きなら唇をすぼめる人に注目しよう。この表情をする人は、通常、その話に賛成していないか別の考えをもっている。それを知っておけば、案件をどのように提示すればいいか、提案をどう変更すればいいか、あるいは会話をどの方向に導けばいいか、判断するのに役立つだろう。唇をすぼめた人が意見に反対なのか、あるいは別の主張を考えているのかを確認するには、続いている会話を十分に聞いて、さらに多くの手がかりを集める必要がある。


唇をすぼめる表情は、裁判の最終弁論でよく見かける。ひとりの弁護人が話をする間、相手側の弁護人はその意見に反対で、唇をすぼめるだろう。裁判官も補足協議で弁護人の意見に反対なら同じことをする。契約の検討会議で唇をすぼめる表情に注意していれば、弁護士は相手側弁護士の不安や問題を判読できる。警官による尋問でも、特に誤った情報をもとに被疑者を問い詰めているような場面では、唇をすぼめる表情が見られるだろう。被疑者は捜査官の事実誤認を知って、その言葉に同意できずに唇をすぼめる。


仕事の場でもこの表情は日常茶飯事で、状況についてこの情報収集に有効な手立てだと考えられる。たとえば契約書の条項を読み上げているとき、その条項や条文に反対する人は、言葉を耳にした瞬間に唇をすぼめる。または昇進の発表を聞いている人は、誰かに気に入らない人物の名前があると唇をすぼめるだろう。


この表情は正確なシグナルだから、もっと注目したほうがいい。さまざまな状況は場面で見られ、その人が別のことを考えている。または提案を完全に拒否しているという、信頼性の高い指針となる。