第3140冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著),‎ マーヴィン カーリンズ (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 顔と足が物語る幸せ


つい最近、ボルティモアの空港で搭乗を待っていたとき、チケットカウンターで隣にいた客が、ファーストクラスにアップグレードできたと係員から聞いているのを目にした。椅子に座りながら、その客は懸命に笑みを抑えているように見えた。幸運を大っぴらに喜ぶのは、アップグレードを待っているほかの客に失礼にあたるからだ。その人の顔の表情だけでは、嬉しそうだと断言するのは難しそうだった。ところがその後、彼の奥さんに電話してこの嬉しいニュースを報告している声が聞こえてきたとき、小声で話していたものの、その両足は上下に弾んでいた。まるで、誕生日のプレゼントを開ける瞬間を待つ、小さな子どものようだった。彼の嬉しそうな足は、喜んでいる気持ちを裏付ける証拠だった。観察を確かなものにするために、複数の手がかりを探すことを忘れてはならない。


心からの、自由な喜びの感情は、顔と首に現れる。快い気持ちが見てとれるのは、額のしわが浅くなり、口のまわりの筋肉のゆるみ、唇が全部見えるようになり(きつく結んだり隠れたりしていない)、目の周辺の筋肉のゆるみによって目の幅が広く見えるときだ。私たちが本当にリラックスして心地よく感じていると、顔の筋肉もリラックスして頭が横に傾き、最も危険に弱い首の部分があらわになる。これは非常に快適な――恋人同士によく見かける――表情で、不愉快なときや、緊張感、疑い、脅威を抱いているときにこの表情を真似るのは、ほとんど不可能だ。