第3120冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著),‎ マーヴィン カーリンズ (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 胴体の装飾


ノンバーバル・コミュニケーションには記号も含まれるので、胴体(体全般を含む)を飾る服装その他の測色品にも注意を払う必要がある。「服装が人を作る」ということわざがあるが、少なくとも見た目に関しては、私たちはこれに賛成だ。いくつもの研究から、私たちが何を着ているか、スーツなのか軽装なのが――さらに、紺のスーツと茶色のスーツなどの衣類の色までもが――ほかの人に影響を与えることが実証されている。


服装は着ている人について多くのことを伝える一方、着ている本人も服装をさまざまに利用できる。私たちの胴体は感情を宣伝する広告塔とも言えるだろう。デートに行くなら相手を魅了しようと着飾り、仕事の場では成功を求めて服装を選ぶ。同じように、高校生のスタジアム・ジャンパー、警察官のバッジ、軍人の銅章は、どれも胴体に身につけることによって、自らの実績に注目を引こうとするものだ。私たちがまわりの人に気付いてほしいときには、胴体を目立たせれば効果がある。大統領の議会での一般教書演説で、紺やグレーばかりのスーツの海に点在する真っ赤な服を着た女性たちは、派手な羽根飾りを誇示する鳥のように目立ちたくて、鮮やかな色を着ているにちがいない。


服装には、とても地味なものや、とても怖そうなもの(スキンヘッドに似合う服や、ゴシック系の服を考えてみよう)、とても派手なもの(
ピアニストのリベラーチェや歌手のエルトン・ジョンはその代表格だ)があって、着ている人の気分や個性を反映する。あるいは、装飾品を加えたり素肌を見せたりもして、自分が魅力的か、筋骨隆々か、引き締まっているか、さらには社会的、経済的、職業的にどんな位置の人間かを伝えることもできる。だからたくさんの人たちが、大切な行事やデートに行くときないを着ようと、大げさすぎるほど思い悩むことになる。装飾品を利用して、家柄を示したり、きまった集団への忠誠心を見せたり(応援するチームのチームカラーの服を着るなど)することもできる。


服装は着ている人を説明する役割を果たし、祝いごとに加わるのか喪に服しているのか、社会的地位が高いのか低いのか、社会の規範に従っているのか特定の宗派に属しているのかを明らかにする。ある意味で、私たちは何を着るかによって決まる。私は長年、FBI捜査官らしい服装だとまわりから言われ続けてきた。それは当たっている。ごく標準的な捜査官の制服、つまり紺のスーツに白いワイシャツ、えんじ色のネクタイに黒い靴を身につけ、髪は短い。