第3115冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)
- 作者: ジョーナヴァロ,マーヴィンカーリンズ,西田美緒子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/12/05
- メディア: 文庫
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- 歩き方
足と脚について語るなら、歩き方の違いが示すノンバーバルの手がかりについても説明しなければならない。デズモンド・モリスによれば、科学者はおよそ四〇種類の異なった歩き方を見分けられる。そんなにたくさんあるものかと思う人は、多彩な映画に登場する人たちの歩き方について、どれだけ知っているかを思いだしてみよう――チャーリー・チャップリン、ジョン・ウェイン、メイ・ウェスト、グルーチョ・マルクス。これらの登場人物たちはそれぞれ独特の歩き方をし、その歩き方から個性の一部が滲み出ていた。私たちがどんなふうに歩くかは、気分や態度を映し出すことが多い。キビキビと意識しながら歩くこともあるし、フラフラと途方にくれて歩くこともある。散歩する、ブラブラ歩く、のんびり歩く、トボトボ歩く、ヨタヨタ歩く、ダラダラ歩く、足を引きずって歩く、威張って歩く、うろつく、バタバタ歩く、行進する、散策するなど見分けられる歩き方の一部をとっただけでもこんあにある。
ノンバーバルの観察では、こうした歩き方が重要な要素になる。人の歩き方の変化は、考えていることや感じていることの変化を反映する場合があるからだ。普段は楽しそうで社交的な人でも、家族がケガをしたと聞いたとたん、歩き方が変わってしまうだろう。悪いニュースや悲惨なニュースを耳にした人は、少しでも役に立とうと死に物狂いで部屋を飛び出して行くこともあれば、世の中の重力がすべてその両肩にかかってしまったかのように、無気力に歩き出すこともある。
歩き方の変化が重要なノンバーバル行動になるのは、何かが間違っているのかもしれない、問題が隠れているのかもしれない、状況が変わったのかもしれない――つまり、何か大切なことが起こったかもしれないことを、警告しているからだ。その変化は、「なぜ」その人の歩き方が急に変わったのかを見極める必要があることを伝えている。そうした情報があれば、とりわけ次にその人と会話するとき、より効果的に対応できることが多い。歩き方は、その人が知らず知らずのうちに伝えていることを見極めるのに役立つことがある。