第3100冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著),‎ トニ・シアラ・ポインター (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • ガラスをきれいに、塗装を新しく、照明をつけて


私がまだ少年のころのある日、マイアミで父の運転する車に乗り、いっしょにホームセンターを探していた。ようやく一軒見つけたと思ったら、父は前を素通りしてしまった。「どうして止まらないの?」と尋ねた私に、父はこう答えた。「窓ガラスが汚れているからさ。あの店は自分の店に気を配っていなんだから、客に気を配るとは思えないね。」そういうことが大事なのだという、父の教えだった。


第一章で、環境が行動にどれだけ影響するかという「割れ窓」の研究について触れた。悪い環境は悪い影響を与え(犯罪まで引き起こし)、よい環境はよい影響を与える。自分の会社がまわりからどう見えるかに管理するには、この強力なノンバーバルを利用できるし、利用すべきだ。そうしてみると、これまで上辺だけだと思っていた多くのことが、実際にはまわりから見える印象を決める大事な要素であることに気付くだろう。たとえば宝石点のショーウィンドウは、ほかの小売店に比べて最もきれいに磨き上げられている。なぜだろうか? 通る人が覗き込むようにだ! わざわざ汚れたショーウィンドウを覗く人はいない。家を売りたいと言ったとき、不動産やはどんなアドバイスをくれるだろうか? 垣根を刈り込み、芝を刈り、ペンキを塗り直して、(もちろん)窓ガラスを磨くように言うだろう――すべて、家の「第一印象のアピール」を高めるために。


私も第一印象のアピールで銀行を選ぶ。どの銀行も、銀行は銀行じゃないかと思うかもしれない。そのとおりだ! すべての銀行は同じ最優遇貸出金利を基準にして利息を決めているから、どこも大差ない。顧客はどの銀行に預金するかを、次の三つの要素で決めている。外からどう見えるか、中に入ってどう見えるか、そしてどんな待遇を受けるか。ほとんどどの業種でも、そこでしか手に入らない商品がある場合を除いて、同じようなものだ。