第3016冊目 心を上手に透視する方法 トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)
- 作者: トルステン・ハーフェナー,福原美穂子
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 一瞬で周囲の注目を集めた「一言」とは?
生きていくうえで、私たちは自分にとって重要な情報を、フィルターに通して絶え間なく選び取らなければならない。もちろんこのフィルターを交換することはできる。ときには、いつの間にか交換されていることもある。
たとえば新しい車を買おうとするときだ。ある車種に決めたとたん、その車種が町じゅうを走っていることに突然気がつく。しかし、実際にその車種が増えたわけではない。突然、その車種に興味をもったことで情報のフィルターが変わったのだ。
まかのまちに出かけたときにも、あなたがどんな情報を選択しているかがわかるだろう。つまり、自分の町のナンバープレートばかりが目立って見えるはずだ。
同じような現象は、周囲の人との関わりの中でも起きている。
パーティーで少しの間、一人きりになったとする。ざわざわとした音は聞こえても、誰か特定の人の声が聞こえてくるわけではない。
ところが突然、誰かがあなたの名前を言ったとする。周りで数多くの言葉が発せられている中で、あなたはほぼ百パーセント、すぐに自分の名前を聞き取るだろう。自分の名前に反応することが身体にしみついているからだ。
こんなときも、あらゆる情報のうち、わずかな情報だけを選んで受け取ろうとする。あるいは、わずかな情報しか受け取れず、ある特定の情報についてしか反応できない、と言ってもよいだろう。
こうした現象の例として、二、三年前とてもすばらしい経験をした。妻と一緒に出張に行ったときのことだ。
ある晩、十二人と一緒に一つのテーブルについていた。ホールには数百人もいて、すさまじい騒がしさだった。だから皆でテーブルについていても、隣の人としか会話ができない状況だった。
しかし一瞬にして、私たちのテーブルはしーんと静まりかえった。皆の会話を止めたのは、僕の隣に座っていた人の発言だった。彼はこう言ったのだ。
「一つ、すごくプライベートな質問をしてもいいですか?」
この発言で彼は、意図せずして、即座に同席していた人たちの注意を引いたのだ。第3章でまた、この現象に関して述べる。読者のみなさんは経験から、こんなことがはじめに書いてあったら、あとで必ず興味深い話が出てくると知っているだろう。そうやって期待が高まるのだ。ただし、僕の隣に座っていた人は結局、聞きたかったことを聞かずじまいで終わってしまったのだが。