第2935目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


私の友人は、ビル・クリントンがグーグルの本部を見学した際に、彼を直接、褒めるという貴重な経験をした。クリントンはどのような反応をしたのだろう。


彼が向こうから歩いてきて、私は挨拶をしたかったが、何を言おうか考える時間はなかった。私は思わず、「この国のために尽くしてくれて、ありがとうございます」と声をかけた。すると彼は立ち止まり、少し考えているように見えた――そんなふううに思ったことは一度もなかったかのようにそれから、私の言葉をじっくり噛みしめているに見えた――そんな心のこもあったことを言われたのを初めてであるかのように。彼は肩の力を抜き、自分はそんな大それた人間ではないというような笑顔を見えて言った。「とても光栄です」。まるで、彼は表彰されたカブスカウトの少年で、私が大統領になったような気がした。賛辞をこんなふうに受け入れることができるなんて! 完ぺきな対応だった。


物事の温かい面を強調して前向きの関連づけを生み出すということは、相手を気持ちよくさせるということでもある。クリントンと話している誰もが、自分はこの場で最も重要な存在だと思う。どうすればそのように思わせることができるのだろうか。


ある会合で最も重要な人物と話をしているとき、あなたはどんなふうに振る舞うだろうか。おそらく、その人の言葉を一言も漏らさず聞きたいと思うだろう。とても興味をそそられ、感動さえする。あなたと話をしている人々も、あなたのそのような思いから前向きな気持ちを抱き、そうした感覚をあなたと関連づけるのだ。


デール・カーネギーは次のように語っている。「2年をかけて他人に心から興味を持ってもらえるようになるより、2ヶ月で他人に心から興味を持つようになるほうが、多くの友人ができる」。そこで、ひとつの効果的な方法がある。誰かと話しをしているときに、自分は映画を見ていて、相手はその主役だと想像するのだ。そうすると、これまで以上に相手に興味がわき、そうした感覚が、相手に自分は映画スターだとさえ思わせるかもしれない。カリスマのある人は、意識的にせよ無意気にせよ、前向きの関連づけをたくみに利用する。カリスマのある人のおかげで、自分が「特別な人」「素晴らしい人」に思えたと、絶賛する人も少なくない。


私のクラインとにこう助言している――人を感動させようとせずに、人に感動させてもらうこと。賢いと思われる必要はない。相手に自分は賢いと思わせればいい。