第2928目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


CEOや人事の専門家は、採用面接の最初の数秒間で合否を判断する人も少なくない。あるシニアエグゼクティブに言わせれば、「面接の残りの時間は見せかけにすぎない」・


教授の評価に関する実験を行ったハーバード大学の研究チームによると、第一印象は原始脳の脳幹でつくられる。脳幹は本能や原始反射の源でもあり、私たち祖先が生き延びるカギを握っていた部位でもある。狩猟採集の時代は、視野に入ってきた影が生物か生物でないか、人間か人間でないか、敵か味方かを一瞬で判断しなければならない状況が多かった。「闘うか、逃げるか、安心していいか」を一瞬で決めるのだ。この判断を正確にできる人は生き延びて、繁栄し、子孫を残す。しかし正確に判断できない人は、誰かのタンパク源となる



こんにちでも、洗練されたビジネスの世界でさえ、狩猟採集時代の生存本能が機能している。初対面の人を前に、私たちは本能的に考える――敵か味方か。どのくらい好意を持っていそうか。その答えを探すために、村落で暮らしていた時代にとても有益だった手がかりに頼る。すなわち、外見と態度だ。


相手が敵になりそうな可能性が少しでもあれば、次に考えるのは、闘うか逃げるかだ。相手に悪意があるなら、悪意を行動に移せる影響力を持っているかどうかを考える。その答えを探すために、私たちの脳は、闘った場合に自分と相手のどちらが勝ちそうかを判断しようとする。身長や体格、年齢、性別なども判断材料となる。


これらの2つの判断を下した後でようやく、実際に何をどのように言うかを考えることになる。