第2919目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • 権威のカリスマ――地位と自信


権威のカリスマは、おそらく最も強力なスタイルだろう。権威に服従するうという人間の本能は、バランスを無視して膨れ上がるときもあり、いい方向にも悪い方向にも進む。コリン・パウエルダライ・ラマは権威のカリスマの典型だが、スターリンムッソリーニもそうだった。権威に対する反応は、私たちの脳の奥底に組み込まれている。


権威のカリスマを持つ人は、必ずしも周囲からは好かれるわけではない。マイケル・ジョーダンシカゴ・ブルズ時代の全盛期に、自分にとって好かれることより、リーダーになることのほうがはるかに大切だと語った。話を聞いた記者は次にように書いている。「彼はチームメイトを苛立たせ、憤慨させるときもある。それでも彼はカリスマを発揮して、チーム全体のプレーのレベルを引き上げている」


権威のカリスマは主に、自分のパワーを周囲に感じさせる能力にもとづいている。つまり、この人は自分たちの世界を変える力を持っていると、人々に信じさせることができるかどうかだ。権威のカリスマを評価する基準は大きく4つ。ボディランゲージ、外見、肩書、周囲の反応だ。


最初に考える基準は、ボディランゲージだ。その人物が他人や周りの世界に影響を与えるようなパワーを持っているという自信が、ボディランゲージに表れているだろうか。


次に、外見に注目する。人間は地位を気にして、地位に感動する生き物だ。この本能的な反応が、生き延びる武器となる。地位の高い人は、私たちを助ける力も傷つける力も持っている。生き延びるためには、自分が序列の中でどこにいるかを知らなければならず、他人の地位を判断するあらゆる手がかりにきわめて敏感になる。


そこで服装は、地位を判断する強力な手がかりとなる。私たちは地位を通じてその人の潜在的なパワーを、パワーを通じて権威のカリスマを判断する。たとえば、専門知識(医師の白衣)や権力(軍人や警察官の制服)を象徴する服装。高価な服など、社会的地位や成功を象徴するものには、とくに注目する。ニューヨーク市で行われたある実験では、横断歩道のない道路を横断する人が高価な服を着ている場合と普段着を着ている場合では、前者のほうが後に続く人は多かった。