第2916目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)
- 作者: オリビア・フォックス・カバン,矢羽野薫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2013/12/10
- メディア: 単行本
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- ビジョンのあるカリスマ――信頼と自信
ビジョンのあるカリスマは周囲を鼓舞し、この人を信じようという気持ちにさせる。必ずしも人から好かれなくても、ビジョンのあるカリスマは驚くような効果を発揮する。スティーブ・ジョブズはアップル社内でも恐れられていたことで知られ、会社の内外で評判が悪かったのも確かだ。しかし彼を悪く言う人々も、彼がビジョナリーであると同時にカリスマだったことに異論はない。ジョブズの晩年のプレゼンテーションを直接聞いた人がこんなふうに語っている。「彼は強い信念と情熱を持ってしゃべる。私たちの神経細胞がいっせいに叫びだす――そうだ! そうなんだ! 僕はあなたについていく!」
ビジョンのあるカリスマがこれほど強力な理由は、人間は本能的に不確かさを敬遠するからだ。目まぐるしく変わる現代において、私たちは確かなものにしがみつきたい。ジョージ・W・ブッシュが最初に米大統領選挙に臨んだ際の世論調査によれば、支持者がブッシュに魅力を感じる大きな理由は、「自分の信念に強い確信があること」だった。
ビジョンのカリスマを伝えるためには、完ぺきな説得力と、自分の主張への自信が必要だ。その意味でこのカリスマの基本はパワーだが、誠意も重要になる。必ずしも誠意を伝えなくてもいいが、自分のビジョンを情熱的に抱きしめなければならない。そして、本物のカリスマのビジョンには、ある程度の気高さと利他主義が含まれる。
スティーブ・ジョブズは「ほとんど救世主のような情熱に衝き動かされている」と書いた記者もいる。「ジョブズはコンピュータを売るのではない。より良い世界という約束を売っている」。ビジョンのあるカリスマは、贖罪を約束することも多い。ジャンヌ・ダルクも、マーティン・ルーサー・キング牧師もそうだった。そして、彼らは自分という人間ではなく自分のビジョンを売り込む。