第2914目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


集中力のカリスマは、ビジネスでも大きな武器となる。ビル・ゲイツのそばで働いてきたエグゼクティブは、私に次のように語った。


カリスマのある人は堂々としていて、圧倒的に個性で場を支配すると思われることも多い。でもビルは、地味な外見で、体格とたくましいわけではなく、典型的なオタクに見えるが、彼は確かに場を支配する。彼が姿を現せば、すぐにプレゼンスを感じる。その人が部屋に入ってくると全員の目が釘付けになるのがカリスマなら、ビルはカリスマだ。人を引き寄せ、自分の話を聞いてほしいと思わせるのがカリスマなら、やはりビルはカリスマだ。


IBM社長のジャック・キーラーは、集中力のカリスマのもうひとつの重要な要件である、敬意を伝える能力がずば抜けていた。カリスマの基礎のひとつは、他人が自信を持てるようにすることだ。キーラーは、人々に自分の意見が尊重されていると感じさせ、自分は重要な存在なのだと思わせるコツを知っていた。彼は、最も若い社員も周囲と共有すべき知恵を持っていると心から信じていた。あるエグゼクティブは次のように語る。「キーラーが工場の労働者やエンジニアのところに行くと、彼らをとても尊重して敬意を払っていることが見てとれます。そして、彼らのほうもキーラーを尊重する。キーラーが来ると、エンジニアの顔がぱっと明るくなるんです」