第２８９７冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

• 不安を感じたとき

不安を感じたときに気持ちを軽くする確実な方法は、オキシトシンという神経ペプチドホルモンを放出することだ。オキシトシンは「信頼の素」と呼ばれることも多く、闘争・逃走反応の覚醒を素早く抑える。

神経科学の専門誌として私が愛読している「ワイズ・ブレイン・ブレティン」によると、20秒間の抱擁で、十分な量のオキシトシンが全身の血管に行きわたる。さらに、抱擁されることを想像するだけでも同じ効果が得られるという。次に不安を感じたときは、あなたが大切に思う人から全身で抱きしめられることを想像するといいだろう。

イメージトレーニングに関しても、私のクライアントたちはその効果に驚いている。このテクニックが「MIT時代に命を救ってくれた」と、同大学のある卒業生は私に打ち明けた。一流大学として知られるMITは自殺率が高いことでも知られ、とくに最終試験の期間中は自殺が増える（同期間中のMIT
の自殺率はハーバード大学より38％高い）。MIT健康センターは最近、この期間中にイメージトレーニングのCDを学生に配っている。

あるクライアントは、イメージトレーニングを「日常生活で使えるジェダイの心の操縦術」と称した。別のクラインとは、スポーツや音楽に関しては以前からイメージトレーニングを実践していたが、仕事や日常生活でも取り入れようと思ったことはなく、やってみてその結果に驚いたという。どうしてもって早くやらなかったのだろうと悔やんでいた。

著作家のナポレオン・ヒルは、9人の偉人――ラフル・ウォルド・エマーソン、トマス・エジソン、チャールズ・ダーウィン、エイブラハム・リンカーンなど――を自分の「専属カウンセラー」にしていた。「毎晩……見えないカウンセラーたちと想像上の理事会を開いた……私やクラインとが難しい問題に直面すると必ず、私は彼らに想像する。たいてい素晴らしい結果を得られる」

あなたもイメージを描きたい感情に合わせて、自分のカウンセラーを決めよう。ヒルは「自信のカウンセラー」にナポレオン1世を選らんだ。カリスマを高めるためのカウンセラーには、完ぺきな自信、誠意、思いやり、あるいは落ち着きのある人物がいいだろう。もちろん、すべての要素を体現する人物が見つかるかもしれない。彼らの激励が必要だと思ったときはいつでも、想像の中で相談する。ここでも脳のブラシーボ効果のおかげで、あなた自身の想像にすぎないとわかっていても、実際に効果があるだおる。

イメージトレーニングは実に強力なツールだ。カリスマを高めるさまざまなテクニックのなかでも、いつでも使えるようにしておきたい。この本を読んで身についたテクニックがイメージトレーニングだけだとしても、あなたのカリスマ性にとって決定的な変化をもたらすはずだ。