第2893冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • イメージを描く


ゴルファーのジャック・ニクラウスは、練習中でも必ずイメージを思い描いてからショットを打つ。プロのアスリートは昔から、イメージトレーニングを重要なツールと考え、自分が勝つ場面を何時間も想像することも少なくない。体がどんなことを達成しようとしているのか、心に言い聞かせるのだ。


「自分がある行動を取るところをイメージすると、実際のその行動をする際に使われる脳の部位が活性化されることは十分に証明されている」と、スタンフォード大学・行動科学先端研究センター所長(当時)のスティーブン・コリスン教授を指摘する。だからこそ、イメージトレーニングは効果が高いのだ。アスリートのなかには、徹底したイメージトレーニングの後に、実際に肉体的な疲労を感じるという人もいる。さらに、イメージを描くことで、脳の構造が物理的に変わるときもある。繰り返し行われた実験から、自分がピアノを弾いていることを何度も想像すると、脳の運動脂質に測定可能な変化が検出されることがわかっている。


脳はとても変わりやすい。ある程度の年齢を過ぎると、脳の構造はパターン化されるという考え方は、現在では完全に間違っていることが証明されている。私たちは脳を使うたびに、特定のニューロンの結びつきを刺激している。これらの結びつきは、脳を使うほど強くなる。精神的なプロセスを一定のペースで繰り返すと、そのプロセスはしだいに強化される。つまり、ある精神的傾向を意識して定着させ、強化することもできる。