第2892冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


  • 頭で考えていることは体に表れる


自分の内面を知る際にまず理解すべきなのは、「脳は事実とフィクションを区別できない」ということだ。これはカリスマ的な精神状態をコントロールする際にも重要なカギとなる。


ホラー映画を見ていて、心臓がどきどきしたことがあるだろう。頭の中では作り話だとわかっているし、俳優は高額な出演料と引き換えに殺されるふりをしている。それでもあなたの脳は、画面に飛び散る血や内臓を見て本能的の闘争・逃走反応モードになり、アドレナリンを分泌する。


ここで同じような反応を体験してみおう。たとえば、お気に入りの音楽を思い浮かべながら、次の場面を想像する。


黒板を爪でひっかく。


砂が入ったバケツに手を突っ込み、指のあいだから砂がこぼれていく。


レモンとライムはどちらが酸っぱいか。


もちろん、あなたの目の前には黒板も砂もレモンもない。しかし、これらの想像上の出来事に対し、実際に体が反応する。脳は想像と現実を区別できないから、想像している状況が現実に起きた場合と同じ反応をするように指令を出す。頭で考えていることが、体に表れるのだ。したがって、カリスマ的な心の状態になれば、カリスマ的なボディランゲージが自然と表れるだろう。


強い前向きの気持ちが肉体的な反応を招く例として、プラシーボ効果(偽薬効果)がある。有効成分が含まれていない偽の薬を本物の薬だと思って服用したり、医学的な治療だと思って関係のない処置を受けたりすると、驚くほど多くの人が、医学的な症状が実際に改善するのだ。