第2848冊目 私の財産告白 本多 静六 (著)
- 作者: 本多静六
- 出版社/メーカー: 日本経営合理化協会出版局
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: 単行本
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- 他説に花をもたせるように
なお一般の会議などで、自分の考えているように何から何まで運ぶと、あとの実行に、何かしら一人で責任を負わされるような形になって、ちょっと都合のわるいことも出てくるものである。そんな場合を避けるためには、どうしてもこれでなければならぬという大事な骨子だけは守って、どうでもいいあとの七八分は、できるだけほかの人の意見に花をもたせるのがいい。これはひきょうに似ているようであるが、スムーズな会議の進行と、慎重を期する実行上の用意にきわめて大切なことである。
次に会議会同によらず、個々の意見を具申する場合、多く文書提出の方法によるものが普通であるが、これにはくだくだしい理論的叙述を避けて、簡明直截な箇条書きにするのが一番いい。もし詳細を尽くした説明書をこしらえたら、それは、まず本分を読んでのち、改めて目を通すことができるように、始めから別文にしておくがよろしい。無理に本文中に入れると、全体がかえって軽っぽくなってしまう――第一お仕舞いまでみななかなか読んでくらなかろう。