第２８３５冊目その話し方では軽すぎます！矢野香

同じく緊張した状態で立て直す方法に、別の動作を挟むというものもあります。先ほど述べた爪を立てる動作と違う点は、人に隠さず堂々と行うことができるという点です。

人前でスピーチをしているときに緊張をしているな、と自覚したら、手元にある資料をわざとトントンと重ねてみる。または、水が用意してあれば水を飲んでみる。ハンドマイクを持っていたとしたら、左右に持っていた手を持ち替えてみる。

何か別の動作を一度挟んで、気持ちを立て直すのです。

重要なことは、無意識にその動作を行わないことです。

「私はいまマイクを持ち替えている」としっかりと意識しながら、丁寧にマイクを持ち替える動作を行ってください。そうすることで、「緊張している」という意識が、「マイクを持ち替えている」という意識に置き換えられ、緊張感は消えてきます。

この方法を紹介すると、「資料も水もマイクもないときは、どうすればよいですか」という質問を受けます。

そのときは自分の身体を使ってください。足の指です。靴の中で、足の指にグーーッと力を入れて丸めて、緩める、という動作を意識しながら行います。

緊張しているという意識を、足の指を曲げている、伸ばしている、に書き換えていきます。これなら道具がなくても、いつでもどこでも緊張を取り除くことが可能です。