第2766冊目 人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171)  谷原 誠 (著)


人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171)

人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171)

  • 上司の2つの責任とは?


?部下に生活かつ迅速に仕事をさせる。
?部下を育てる。


会社は営利を目的としていますから、なるべく多くの売り上げを上げ、経費を節減することを目指します。そこでは、すべての社員が正確かつ迅速に仕事をすることを求められます。上司は、複数の部下を統率する者として、自分の部下に正確かつ迅速に仕事をさせることを要請されます。


では、正確かつ迅速に仕事をさせるには、何が必要でしょうか。


それは、部下が自分が行うべき業務を正確に認識することです。上司は、部下が行うべき業務を正確に認識するように的確に指示を出します。場合によっては詳しく説明します。それによって部下が正確に業務を認識することも多いでしょう。しかし、部下が正確に認識したかどうかはどうやって判断するのでしょうか。その業務の根底にある考え方まで把握しているでしょうか。それがわかっていないと、予想外の事態が起こったときに対処できないのではないでしょうか。私も部下を持つ者として、このような不安を持つことがあります。


この点を解決するのが質問です。上司が部下に対し、指示命令をする代わりに質問をするのです。質問をすると、部下が自分で考えて自分で答えを出します。その答えを聞くと、本人が本当に理解しているかどうかがわかります。


「○○したらどうする?」
「○○と○○だったら、どちらを選ぶ?」


というように想定される事態を質問し、考えさせ、答えさせます。しかし、多くの上司は、このようなことはせず、指示命令をします。それは、時間がもったいないからです。指示命令で素早く済ませた方が合理的だと思っているからです。しかし、本当にそうでしょうか。簡単な事務作業だったら、考え方も何もありませんから、指示命令でよいでしょう。しかし、取引相手がある仕事だったり、現場で対応が必要な仕事だったりする場合、十分な理解をしないまま仕事をしていると、思わぬミスを犯す可能性があります。また、いちいち上司の指示を仰ぐために連絡と相談が必要となるかもしれません。結局はその方が時間の無駄ではないでしょうか。