第2734冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • メッセージの力を強める


メッセージは、話し手がそのメッセージを送る場所を賢明に選ぶことによって、忘れられないほど強い印象を残すことがある。「ゴルバチョフさん、この壁を取り壊してください!」というロナルド・レーガンの言葉があれほど威力をもって響いたのは、その演説が当時はまだ共産主義だった東ドイツの目と鼻の先、ブランデンブルク門の前で行われたからだ。マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が「私には夢がある」という不朽の演説をしたときには、リンカーン記念堂の前の、本人が言ったとおり、やはりすべての人々の自由の夢を抱いて立った「偉大なアメリカ人」の「象徴的な影」の中に立っていた。どちらの場合も、演説者は視覚と言葉の両方を結びつけてメッセージを強め、その場の聴衆ばかりではなく、その後に生きる世界中の無数の人々の心と頭にも永遠に刻み込んだ。これらの演説がワシントンDCにあるホテルの大広間で行われたのだとしたら、同じようには響いていなかったかもしれない。


伝えたい大切なメッセージがあるなら、そのメッセージを送るのは最も適した場所はどこか、それをそのように伝えたいかを、自問したほうがいい。ここでまた振り出しに戻って、話は自分自身のことになる。突き詰めると、人が伝えるメッセージの力は、その人がまわりからどのように見られているかに大きく関係してくる。正しいイメージを育てる努力を怠ってはならない。正しいイメージをもたれていなければ、話に耳を傾けてもらえないか、何を言っても尊重されないからだ。国会で資金援助を求めるために自家用ジェット機で乗り込んだ、ビックスリーのCEOたちを思い出してみよう。その声に耳を貸す者は誰もいなくなり、メッセージは役に立たなかった。彼らのメッセージが、ボロボロになってしまったからだった。


この章で、話してきた内容の大半は、あなたの周囲にオーラを生み出すために利用することができる。あなたが到着する前から期待感を抱かせ、あなたの存在感を大きくし、あなたが去ったあとにもよい印象として残るオーラだ。あなたのノンバーバル・メッセージとバーバル・メッセージがひとつになり、同調したとき、その力は強大なものになる。


パーソナル・イメージは、まはやCEOや有名人だけのものではない。現代のように情報化と視覚化が進んだ世界では、あらゆる面で――生身の本人からオンライン上まで――自分のイメージを管理することがますます必要になっている。自分自身が管理しなければ、ほかに人に勝手に管理されることになる。(自分の名前をオンラインで検索してみればわかるだろう)。


逆説的になるが、イメージの管理を不可欠にしているもの――情報があらゆる場所にあっとう間に広まる状況――こそ、その管理を可能にするものである。インターネットには、会社発展の物語や仕事と業績の記録を広く共有できる。ほとんど無限のチャンスが待っている。