第2722冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • いっしょにいる仲間――これまで考えたことのなかったノンバーバル


いっしょにいる仲間のことをノンバーバルとみなす人は、ほとんどいない。ところが私がこれまで経営者や採用担当者、CEO、人事担当者と話してきたところでは、どんな人といっしょにいるかは、自分がどう見られるかに違いをもたらすことがあり、実際にもたらしていることは間違いない。


朝、目覚めたときに、「きょうは私が見つけられるなかで一番平凡で、鈍くて、怠慢で、つまらなくて、いいかげんで、底辺の社員といっしょにいたい」などと考える人間はいないだろう。本当は成功した人といっしょにいたい。ところが、会社内でそういう人といっしょに過ごしている社員がどれdけいるだろうか? そばにいると見下されると思うから、避けてしまう。そんなのは不公平だと言いたいだろうか? そうかもしれないが、人生とは不公平なものだ。人はいっしょにいる仲間で判断され、選択を誤れば昇進の道から外れることもある。エリート主義になれなどと言っているのではない。私たちのまわりには、地位や職業や運命のせいではなく、その行動のせいで私たちの将来をだめにするような人間がいることに、気付く必要がある。


新人は、時間を無駄にするばかりの社員に注意しよう。私の知っている組織では、このような人物が相手をほしがり、新人とすぐに仲良くなる。新人は礼儀正しさから、抜け目なくまとわりつく人物の犠牲になってしまう。どんな組織にもそんな人物は存在するし、仕事にも、自分がどう見られるかにも悪影響を及ぼすことがあるから、用心しなければならない。


世界には、基本的に二種類の人がいることを決めに銘じるように。あなたのコップを満たしてくれる人と、あなたのコップを空にしてしまう人だ。仲良くしようと近づいてきたと思ったら、一日の終わりにはあなたのエネルギーも、考えも、成果も、みんな吸い取っていたというような人には、注意が必要だ。そういう人はあなたを空っぽにしてしまう。


私がこれまで働いてきた職場のなかには、毎日出勤するのがつらく、まわりの人たちから不平不満ばかりが聞こえてきて、集団としての士気や能率がひどく落ちているところもあった。率直に言って、私はまるでセラピーをしているように感じたものだ。私たちは医者ではないし、人助けのために職場に行くわけでもない。そういう人物にまとわりつかれると、エネルギーや善意を吸い取られるばかりか、組織内での立場まで下がってしまうだろう。親切に対応してはいけないという意味ではない。ただ、悪影響を受けないように、いっしょにいる時間を短くしたほうがいい。


おわかりのように、気持ちや態度から声まで、ノンバーバルの範囲に含まれないものはほとんどない。常に人の目にさらされていると思うと落ち着かなくなるかもしれないが、ほかの人が自分をどう見てどう扱うかは、ほかならぬ自分によって決まるという点に気付くことでパワーが生まれる。自分がどのような人間に見られるかをコントロールできるのは、自分しかいないのだ。


二〇カ国以上の数百にのぼる組織でコンサルタントを務めてきた経験から、私がビジネスでの成功のノンバーバルと呼ぶものは世界共通だと判断できる。世界中のどのオフィスでも、勝者と敗者はすぐに見分けられる。卓越を求める者と二流に甘んじる者、道義をわきまえた者とわきまえない者、あなたがどんな人かを、周囲はすぐに見分ける。その判断の基準はふたつあり、ひとつはもちろんあなたのもつ能力だが、もっと重要なのは、あなたのノンバーバルだ。もしまわりの人々から、いっしょにいて快適ではない。信用できないとみなされてしまえば、それで失ったものを仕事上の能力で埋め合わせることはできない。この原則を無視するあんら、職業生命を賭けることになる。


成功のノンバーバルをどれだけうまく活用できるかによって、どう受けいられるかだけでなく、どんな人だと思われるか、どんなふうに扱われるか、そしてどう報われるかが決まってくる。仕事の成果だけを見せるなら、有能な数ある社員のひとりにすぎない。けれどもビジネスでの成功のノンバーバルを見せれば、並外れた人とみなされる。選ぶのはいつも自分であり、それは態度から外見まで、あらゆる範囲にわたっている。