第2723冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 美しさがもたらす配当


メディアやマーケティングでは美しさとカッコよさがもてはやされるのは周知の事実で、ここで示した例のとおり、それは政治と権力の分野にまで及んでいる。ではビジネスの世界ではどうなのだろうか? 美しさは関係あるのだろうか?


大学の卒業アルバムで卒業生の写真を見ながら、五年後に高収入を得ているのは誰か予想しろと言われたら、外見は将来の収入を予言しないから不可能だと答えるだろう。ところがふたりの研究者がまさにこの方法で、私たちの容姿がどれだけ重要かを探った。経済学者のダニエル・S・ハマーメッシュとジェフ・E・ビドルによれば、容姿のいい人はそうではない人に比べて雇用と昇進の機会が多く、平均収入が一〇から一五パーセント多いらしい。ふたりはまた、非常に容姿のいい人材を雇った企業は、平均的な容姿の人を雇った場合に比べて一〇から一五パーセント高い利益を得ていることも突き止めた。これはけっして目新しい話ではなく、聖書にさせ、美しいことが求められて報われる話がたくさん見つかる。


こんな話は物議をかもしそうそうだが、私はただ多く人がすでに思っていること、研究者がよく知っていることを、明確にしておきたいだけなのだ――私たち人間には、ほかの動物と同じように、美しさを好む傾向がある。最も鮮やかな尾羽をもつクジャクから、たてがみが一番立派なライオン、最も堂々としたウマまで、動物はうつくしいものを自己選択しており、同様に人間も美人コンテストをするし、ほとんどの社会で人は容姿を基準にした恋愛プロセスを経てから結婚相手を決める。


蓼食う虫も好き好きという諺をもちだす人もいるだろうが、美しさを好む気持ちは人間の遺伝子に刻まれていて、そのために赤ちゃんは酷い顔より美しい顔を長い時間見つめるという研究結果もある。どの文化でも美しさが求められ、(メーキャップや装飾品を用いて)強調され、何らかの方法で報われる。