第2704冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 利益が大きいほど、ノンバーバルの力も大きい


二〇〇八年の大統領選挙戦のさなか、私は何度か「ジ・アーリー・ショー」(CBS)に出演し、全国党大会のスピーチや討論会での候補者たちのノンバーバルを分析する役目を引き受けた。私が最も強く感じたのは、次のようなことだった――どの集会、街頭演説、広告キャンペーン、討論会が終わったあとでも、候補者の言った言葉をはっきり覚えている者はひとりもいない。でも、誰が落ち着いていたか、誰が経験豊富に見えたか、誰が大学生のチアリーダーみたいにウィンクしたか、誰が有能そうに見えたか、――誰が「大統領にふさわしく」見えたかは、みんなきちんと覚えている。記憶の残るにはほとんどがノンバーバルなのだ。私たちは四年ごとに、ノンバーバル・コミュニケーションの威力を思い知らされることになる。国の最高責任者になろうと競う人たちに関する国民の記憶は、全国規模の舞台でどんなふうに振る舞うかが大部分で、話す言葉が占める割合は少ない。それは、世界の舞台でどれだけのことをやってのけるのかの試金石となる。


ノンバーバルは、私たちの暮らしに深く、広く、浸透している。自分が周囲からどんな人物とみなされるかの全体像を作りあげているのは、ノンバーバルだ。これに気付いた人は、ほこあの人が手にしてない強い影響力を手にできる。信頼性、安心感、協調性、生産性、影響力は、どれもノンバーバルに大きく左右される。その威力を軽視するのは、平凡を目指すの同じだこと――悪くすれば、失敗を目指すのと同じことになる。