第2703冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 玄関の外の世界――環境のノンバーバル


どこも貸出金利が同じなのに、たくさんの銀行のなかからひとつを選ぶときの理由は何だろうか? もちろん選択の第一の基準はサービスの内容だが、「第一印象のアピール」、広告、認知度、接客などの要素もあり、これらはすべてノンバーバルだ。大成功を収めている企業は、ロビーの設計からCEOのオフィスの家具調度まで、美しさの静かな影響力をよく知っている。ラスベガスのホテル「シーザーズパレス」の正面から見える壁には、何と一八種類もの少しずつ異なる白ペンキが使われていて、建物はいつも磨かれ、塗り直されている。なぜだろうか? そのような第一印象のアピールによって、客室の稼働率が左右されることを知っているからだ。なにしろ、ラスベガスには有り余るほどのホテルがひしめいているのだから。


環境がどう見えるかは利益に影響するばかりか、人々の行動にまで影響を与える。最近の研究で、割れた窓ガラスを放置すると犯罪が増えるという「割れ窓理論」の正しさが実証されてきた。無秩序な様子に見る地域では、犯罪や反社会的行為の発生率が高まるのだ。特に問題もない地域で、ひとつの建物にスプレーで落書きをし、無人のまま放っておいたところ、その地域では建物を標的にした犯罪が大幅に増えた。結局は、警察官なら全員が知っている事実に行きつく――人々が無関心に見える場所では、犯罪者は反社会的に行動しても構わないと思ってしまう。


自分の職場をノンバーバルのレンズを通して見るようになれば、職場の雰囲気を左右している大小さまざまな要因の力を見抜けるようになるだろう。