第2685冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • 練習について絶えず話し合う


野球では1塁コーチがすばやく効果的に、効率よく、選手やほかのコーチにハンドシグナルを送って、バッターやランナーがやるべきことを正確に伝える。盗塁、バント、ベースからのリード、犠打、ボールの見送り、その他いくつもの戦略的な動きについてサインを出す。すべてことばを使わずにだ。コーチと選手のあいだですばやく交わされる基本的なサインなしでは、勝てるはずの試合に負け、得点につながる走塁も盗塁も犠打も減るだろう。その種の「共通のことば」を持つことは、練習する組織の成功に欠かせない。


選手が練習で新しいスキルを習得するときには、学んだことを知るために、スキルに名前をつけることが重要だ(ルール11)。共通のことばを作ったあと、練習のあともそれを維持するには、どうすればいいのだろう。サッカー選手のダグの息子は「Vカット」も「ドラッグ・バック」も「クライフ・ターン」も知っていて、試合でそれらをどう使ったか(あるいは、使えたか)、コーチと明確に話し合うことができる。練習で身につけたことについて指導も受けられる。同様に、外科医は「水平マットレス縫合」、「連続縫合」、「単純結節縫合」を知っている。共通のことばを開発し、練習後も使いつづければ、互いにテクニックをすばやく効果的に話し合って、発達させることができる。名前にちがいがなければ、本来異なる手法やスキルが最終的に混じり合ってしまう。スキルやテクニック、戦略、アプローチに名前をつければ、手術室やサッカーグランド、役員室、教室、あるいはあなたのリビングルームでも生かすことができる。練習中に共通のことばを使ってスキルを伸ばし、練習のあとも使いつづけて、スキルを記憶に焼きつける。私たちのワークショップでは、テクニックの実演ビデオを参加者たちが分析する際に、習ったばかりのことばを使って練習することを求める。それによって、練習中も、練習について話し合うときにも、共通のことばを使うことの大切さが理解される。