第2673冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • まちがいを練習の一部にする2


プラトー状態の説明として、フォアはタイピングの学習をあげている。最初のころはすぐに上達するが、やがて正確さとスピードのピークを迎える。私たちは職場でも私生活でも何時間タイピングしているにもかかわらず、スキルが向上しつづけることはない。研究によると、まちがえることが許し、いつもの速度より10から20パーセント速く文字を打たせることで、スキルが向上するのがわかった。まちがいはするが、それを克服して成功することができるのが、フォアはプラトー状態を克服したいなら、失敗を練習をしなければならないということだった。


この教訓を組織に応用するのは、口で言うほどたやすくない。たいていの組織はまちがいと相性がよくない。それももっとも、まちがいは、顧客をひとり失うことから、ひどい報道をされること、大量の製品リコールまで、あらゆる破滅的な結果をもたらしかねない。たとえ被害を最小に抑えたとしても、職場の多くの人々はまちがいを日常化する適切な方法を見つけることだ。


具体的には、次のようなことである。スキーヤータイピストの例で見たように、まず人々に挑戦させ、まちがえることを許可する。次に、成長と向上を支援するようなやり方でまちがいに対処する。まちがいを最小化したり無視したりせず、根づくまえに修正して視線するのだ(ルール8)。これは微妙なバランスが要求され、組織によっても、学んでいる課題によっても少しずつ異なる。このバランスのとり方を見るために、学んでいる課題によっても少しずつ異なる。このバランスのとり方を見るために、学びの最前線であり中心地である「教室」を例に考えてみよう。


すぐれた教師を観察して、私たちが学習の一部として受け入れているが、修正せずに放っておくことに非常に長けていて、まちがいを学習の一部として受け入れているが、修正せずに放っておくこともない。「大丈夫よ、むずかしい問題だったから。まちがってもいいの」などと放置して、まちがいを軽視することもない。3年生の生徒が朗読しているときにいくつかまちがえば、教師はその生徒につかえた文章をもう一度読ませる。「いまのところをもう一度読んでみて」。それでもまだまちがえるようなら、解決できるヒントを与える。「そこは短く「イ」と発音します」。チャンピオン教師は、まちがいが対処されないままにならないように、根づいてしまわないように、つねに気を引き締めている。また彼らはやさしく、しっかりと修正する。自己修正の厳しさを好む(むずかしい段落を読み直させ、まちがいをみずから修正させる)が、必要なときにははっきりと指摘する(「その単語は「ダイアグラム」と発音します」。


どのような文化、職場、教室、その他の集団でも、こうしたやりとりの積み重ねが、まちがいに対する人々の態度を決定する。ひとりの生徒に、失敗することと再挑戦することをうながせば、学習に対する個人の考え方や、互いに助け合って学ぶことなどについて、すべての生徒に計り知れない影響を及ぼす。教室は安心して失敗できる場所になり、まちがいは非難されないがかならず修正され、成功が重視される場所にあんる。


この取り組みで重要なのは、教師やコーチやマネジャーが「いい人」から卒業することだ。まちがいに対処するとき、私たちはまずいたいわゆる態度をとりがちだ。「いいんですよ、サラ。これは本当にむずかしい問題だったから、精いっぱいやったわ」とか、「呼び出されたりしてごめんなさい」とか。こうした対処にはよくない効果がたくさんある。まず期待の低さが表れているし、まちがいは謝るべきこので(フィードバックも)、結局避けるべきものという考えに至ってしまう。改善が必要なのに回避してばかりいると、問題を本当の大きさ以上にとらえるようになる。やさしく、素直に、しかし「いい人」から卒業して、まちがいを練習に日常的な部分として取りこむのだ。