第2664冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • フィードバックをまず活用し、あとで考える


ローラと事前の打ち合わせで、デービットは直感的には正しくないが、じつは正しい練習をした――ローラのフィードバックを、深く考えたり話し合ったりするまえに使ったのだ。ローラのフィードバックに対して、たとえばこいう反応もできた。「あの、スーザンはすぐかっとなるたちなので、それほどあからさまには言えないと思います」。しかしデイビットは最初に戻って、フィードバックを試してみた。したがって、そのあとの議論には、フィードバックされたアイデアに多する感想だけでなく、実現してうまくいったかどうかという観察も加えることができた。これがこの章の2番目の議論が始まってしまし、議論は行動を締め出しがちだ。そこでできるもっとも生産的なことは、フィードバックについてじっくり考えたい参加者に、こんなふうに言うこと。「オーケイ、それは正しいかもしれない。でもまずやってみて、どうなるか見てみましょう」。


たとえば、同僚のマルタとあなたが翌週から部下のキャロルの業績評価をすることになっていて、ふたりでその練習をしている。あなたはキャロルにする話を練習している。まずキャロルの長所を2、3あげて、それから改善すべきおもな点についてふたつ話す。話し終えるとマルタが言う。「褒め方がちょっとぶっきらぼうかもね。まるでキャロルの気に入らない点の話に早く移りたいみたい。たとえば、もう少し細かく褒めてみるとか? キャロルがチームに貢献した具体的なことをつけ加えてみれば、もっと気持ちが伝わると思う」。


ここでよくあるのは、この意見を聞いて自分とキャロルとの関係をあれこれ考えてしまうことだ。「ありがとう。よくやってしまうの。キャロルには本当に感謝してるけど、あまり具体的に褒めてなくて」。あるいは、もっと大きなマネジメントの問題について考えてしまうかもしれない。「そうなの、そのことにいつも悩まされてる。まず肯定的なことを言って、それから否定的なことを言わなくちゃいけないのはわかっているけど、本音はいちばん大事なことだけ話したい。いつも肯定的をふたつ、否定的なことをふたつなんて、決まりきった感じがして」。こうしたやりとりは興味深いし、おそらく役にも立つが、「練習を続ける」ほうがもっと役に立つ。私たちは、練習の参加者が練習を避けたいために、無意識に(あるいは、あえて)考えこんだり会話に夢中になったりする姿を何度となく見てきた。


この場合、マルタのフィードバックを取り入れて練習を再度おこない、そのあと結果をじっくり考察するほうが有益だ。フィードバックは、受け手にとって直感に反するものや、予期しないものになることが多い(そもそも直感的に納得できるものなら、自分で思いついている)。だから、試すまえにフィードバックについて考えるのは早すぎるのだ。重要なのは、試してみた結果である。


要約すると、一般的に練習はこういう流れでおこなうべきだ。


1練習
2フィードバック
3やり直す(フィードバックを使って再度練習)
4場合により、何度ややり直す
5考える


しかし、多くの人は次のように練習しがちである。


1練習
2フィードバック
3考え、議論する
4場合により、くり返す