第2650冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • スキルを分離して個別に練習する


心臓手術は複雑だ。学ぶのに何年もかかる。ではどうやって始めるのか? 医学生に手順を説明して概要をつかませるのも大切だが、本当の意味での学習、真の練習は、分離した個別のスキルをひとつずつ身につけることから始まる。「分離」とは何か? まずは心臓手術のたくさんのステップのうちのひとつである「縫合」について考えてみよう。縫合自体も複雑なプロセスなので、さらに分離しなければならない。新米なら、手術器具の持ち方、結び目の作り方、切開部の閉じ方、瘢痕組織の縫い方、縫合材の選び方、ドレーン管やチューブの取りつけ方などを学ばなければならない。これらを本番の手術でやるまえに、何時間もオレンジの皮に結び目を作ったり、解剖用の死体にチューブをつけたりして練習する。これがルール10の中核をなす考えだ――教えたいスキルやテクニックを特定して、そのもっとも単純な形を教え、練習させる。学習と練習の単位をひと口サイズに分割するのだ。


最終目標は、新しく学んだスキルをほかのスキルを合わせて、統合的な状況――大きな試合、手術、読解の授業など――でうまく使うことだ。テクニックを分離して、単純な設定で練習することが、皮肉にもその目標達成に必要な最初のステップになることが多い。これは最初の章で「反復練習」として説明したものだ。しかし、反復練習は練習全体の目標に沿うように慎重に設計しなければならない。すべての反復練習がスキルを分離しているわけではない。計画する過程で、スキルを分離した反復練習を初めに入れることが肝心だ。