第2630冊目 プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)


  • 時間の使い方を記録する


時間をどのように使っているかを知り、続いて時間の管理に取り組むには、まず時間を記録する必要がある。熟練、未熟練の肉体労働については、一九〇〇年ごろ科学的管理法が時間の記録をとって以来知られている。今日では、あらゆる国において、肉体労働の作業時間を測定している。


われわれは、時間の使い方がそれほど重要ではない仕事、すなわち時間の活用と浪費の違いが、主として能率とコストに関わる問題であるような肉体労働に、この知識を適用してきた。しかし、今後重要な意味をもってくる仕事であって、特に時間に関わる問題に対処しなければならなくなる仕事、すなわち知識労働者のついては、まだこの知識を適用していない。しかるに、知識労働者においては、時間の活用と浪費の違いこそ、成果と業績に直接関わる重大な問題である。


知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録することである。


時間の記録の具体的な方法については、気にする必要はない。自ら記録する人がいる。秘書に記録してもらう人がいる。重要なことは、記録することである。記憶によってあとで記録するのではなく、ほぼリアルタイムに記録していくことである。


継続して時間の記録をとり、その成果を毎月見ていかなければならない。最低でも年二回ほど、三、四週間記録をとるべきである。記録を見て、日々の日程を見直し、組み替えていかなければならない。半年も経てば、仕事に流されて、いかに些事に時間を浪費されられていたかを知る。